渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

2004年の内的独白

2022年02月25日 | open



その日、その男は様子が変だった

訳ではない。
大阪生まれ育ち、仕事仲間で
気の置けない仲の男だ。

見るからにホクホク顔で週末の
試合会場に私と共に赴いていた。
地方の町の小さな撞球ハウス
トーナメントだ。
だが、試合開始前に店のオーナー
の振る舞いに男は憤慨し、試合を
実質的に放棄した。
実はかねてより店のオーナーの
言動についていろいろ思うところ
があったのは私も一緒だった。
このところその店の集客率が
極端に落ちている。
深夜、私と二人だけになった時、
オーナーがまた始めだした。
私は言った。
「そんなに客の陰口悪口ばかり
言ってるとだぁれも客が来なく
なるよ」
しかし、オーナーはその場に
いない人の悪口を片っ端から
始める。
きっと私もいないときは言わ
れているのだろう。
中国地区はそんなのばっかだ。
それだけではない。
接客以前に、自分中心の言動
が甚だしく、唯一日参していた
常連客たちも実は辟易していた
のだ。
常連客同士はとても仲がよい。
まさに紳士の競技、ビリヤード
の客たちだ。
ただし、人としての資質とか
私がとやかく言えた義理では
ないが、その店のオーナーに
は、幾度も苦汁をなめさせら
れた経験を私も持つ。
しからば、何ゆえにその店に
常連客は来るのか。
台とボールとチョーク(すべり
止めの青色の四角い物体)の手
入れが素晴らしいのだ。
これほど手入れが行き届いた店
は多くはない。
私は、朝一番で台を隅々まで
丁寧に掃除し、ボールも台も
プレーを終えて客が離れるたび
に磨き上げているオーナーの姿
を見ている。
それは店として当たり前の事なの
だが、やはり素直に見るとビリ
ヤードが好きなのだろう。
だが、人づきあい、客商売は
向いていないかも。
あまりにも自分のことだけに
興味がある人(=他人の精神
状態とかにはお構いなしで自分
の希望だけを常に相手に求める
あって、自分中心の世界の
住人
だからだ。
人に対して、店の中でそれを
やらかす。
玉のことだけでなく、人のあり
方までどう聞いても独善的な
ところで言う。
まあ、地方なりではあるのだが。
それを言われたほうは「今は
黙っていてくれ」と応える。
すると、その対応を捉えて、
オーナーは「俺のことをないが
しろにした」と言い切り、「もう
(あんたは来て)いらん」と
切って捨てるのだ。
そういう事を本当に客に言う。
聞いていて「うっそ?」とか
思った。
それで「最近集客率が悪いけど、
どうしたらよいだろう」と相談
されてもこちらが困る。
いろいろアドバイスしても聞く
耳持たないし、返って助言した
こちらが他の人に対して悪者
にされて言われるのは経験済み
だ。

そして、その男は試合前の
オーナーの態度にキレて、
すべての球をドカン撞きして
試合を投げた。
どんな事情があるにしろこれは
赦されざることで、対戦相手に
失礼だ。
試合途中で諭したが、これまた
この男も人の言うことに耳を
貸さない。ヤカンから湯気出てる。
やれやれ。
だが、オーナーとは違い、アド
バイスした者に対して「私に
嫌なことを言った」というよう
な逆ギレでグチグチと執拗に
絡み返すことはしない。
男は、
「もう二度とこの店には来ない」
と言う。
言ったそばから、貯めていた
数時間分の無料券を人にあげて
しまった。

さて、深夜1時過ぎに試合は
終わった。
閉会の後、半年通い詰めて懇意
になっていた常連たちを私が
初めて食事に誘った。
実は、その男の気持ちを周りの
参加者の連中は察していて、
私の誘いにあれよという間に
14名がついて来てファミリー
レストランに行くことになった。
席について古老の常連が言う。
「きょうは○○ちゃんの送別会
になっちゃったなぁ」
優勝、準優勝、3位に入賞した
人も席にいた。
彼ら3人は、大会の賞金を
ここでの飲食代に放出すると
いう。漢あり。

食事の合間の会話は、周囲は
その男をなぐさめることは
しないが、発言や振る舞い
から各々方の彼への気遣いが
感じられた。
これは「不満を組織する」と
いうような変な仲間意識の
ような類のものでなく、独立
した諸個人がそれぞれ彼に対し
て気遣いをしていたのだ。

朝4時を回る頃、古老が
「よし。玉でも撞きに行くか」
と言い出した。
来たよ、これ(笑)。
数時間後に仕事がある人間を
除き、全員が別の店に繰り出
した。

国際的に海外からも選手を
招いて試合を開催した事の
ある店だ。エフレンとか。
その店の入り口付近の壁に、
その店主催の大会の成績が
厚いアクリル板で掲げられて
いて、見るとの1998年の
準優勝の欄に私の名前が刻
まれていた。
私はこれまで遠い過去にキュー
を一度置いている。玉撞きを
やめた。賭けてはいけないもの
を賭けて。
SA相手の大勝負には勝ったし、
賭けたものも得た。
だが、構造も人間関係も根本
から
瓦解した。そして、一度
玉をやめた。
映画「道頓堀川」のような勝負

だった。

2004年の2月からは、大阪の
友人に請われて
ぼちぼちと
また撞き始めたのだった。
その男は自分のキューを自分で
新調
し、黙々と球撞きを勉強
して
来た。
教えてくれと請われたら私の
知る事をすべて
教えた。
みるみる上達して、マスワリ
もたまに出るようになった。

別な店では、プロを交え、
夜がすっかり明けるまで
楽しく撞いた。

店を出て、駐車場で手を振って
みんなに別れを告げたその男は、
車まで戻ると沈むように乗り
込み、見ているとすぐに大イビキ
で眠りだした。
私も、私の車の運転席で男ども
の心意気を思い出しながら、
それに浸るように穏やかに目蓋
を閉じて仮眠する事に
した。
撞球師の多くがそうして束の間
だけ眠るように。


そうそう。
件の店のオーナーは、お客さんの
女子中学生に強制わいせつ行為
をして逮捕されて新聞に載って
いた。


ショーン ドイツ語で美しい物

2022年02月25日 | open



いつだったか、物知り顔で私の
ランデ・ショーンを見て「それ
ショーンじゃないすよ。バット
キャップにロゴ入ってないから」
と言った奴がいた。
バッキャロ、これはリペアして
キャップ新造したんだよ。

かつて、カスタムキューを使った
事がないので使いたがってた奴が
いた。懇意の知己だ。なので貸与
した。
「いつか、自分のこれだ!と思う
キューを入手したなら返してね」
と相互確約して。
そしたら、お気に入りの別キュー
を入手した後に、私のスペシャル
ボブは何と置きキューにしてブレ
イクに使ってやがった。
それ知って、あーあ、これだから
よー、と回収に行った。遠路百ン十
キロ走って。
そしたら、バットエンドキャップ
が割れている。糸巻きも小汚いへっ
たくそな黒い巻きがしてある。
理由を質すと、ある大会で玉を外し
たので頭にきて床にドン!と突いた
ら、床の段差の角に直撃してパッ
キーンと割れたのだという。
なので地元業者にリペアに出そうと
したら、直せないと言われた、仕方
ないのでそこに糸巻きだけ交換頼ん
という。

そっこーで回収した。
キューを人に貸したり、あげたり
する事程大馬鹿なお人好しな事は
い。
こちとらは、武士の刀と同じく、
これと思った人に託す気で渡して
も、相手はさして重くは受け止め
ない。
キューをあげたりしても、極めて
落胆する事が多い。
自分作のカスタムをあげたら、
しばらくしたら素人の別人にハウス
キューをあげるかのようにあげちゃ
ってたり。
リペア中にキューが無いというので
貸したら、ブレイクキューに使って
いて、しかも下手なブレイクだから
フォアアームが台でこすれて傷だら
けとか。
さらには高価なアメリカンカスタム
を託し進呈したら、高価な物をあげ
たからか、その人馬鹿なの?と家族
から言われたと笑い話にしてたり。
あるいは、ビリヤードやりたくて
仕方ないと言うので入門クラスの
持ちキューを進呈したら、そいつ
は別な人には、「たいして興味な
いのにくれた」とか言ってたりと
か。
中国地区はそんな人たちばっか。
まじで。不思議なエリアだよ。
東京とまるで違う。
こりゃあ、いつまで経っても、
おいらは今の土地では異邦人さ。

で、80年代の泣き笑いの思い出の
詰まっていたボブ・ランデは回収
して、信頼できる同学年のリペア
マンにリペアして貰った。シロシマ
からバーチまで飛行機乗って持って
って。
くっそ下手な糸巻きもハンドル
下地からさらい直して薄くクリア
を吹いて乾いてから巻いてローラー
をみっちりかけて貰った。糸は
TAD色にした。
完璧に信頼できる直しだった。
打ち合わせから意思疎通のやりとり
も信用出来る事この上なし。
やはり武士は東国に限る。

ちなみに、くそ下手な巻きをした
某国の業者は、その何年か後に
ニワカのカスタムキューメーカー
として開店していた。
そのオーナーと、四半世紀前近く
に、あるオープン戦で対戦した事
ある。玉突き人だったみたいね。
めっちゃくちゃ態度が悪かったし、
プレーヤーとして試合中のマナー
違反も甚しかった。無礼千万。
言うもやるも。でも「愚か者め」
と相手にしなかった。いろいろ
挑発して来たけど。
でも、その後、組み立てキューで
カスタムキューメーカーを名乗った。
元々は糸巻きさえまともにできな
い出鱈目仕事をしていたのに。
で、その数年後か10年後かあたり
に、象牙を密輸入して逮捕されて
いた(笑
言い分は、象牙の無断持ち込みは
いけないと知らなかった、とか
言ってると報道されていた。
んなわきゃないだろに、業者が。
知らないなら知らないでは済まさ
れないし、知っていながらやった
のが相場だろうし。隠し持ち込み
しようとして逮捕されたのだから。
根っからろくでもないというのは
四半世紀前に試合で対戦した時に
感じ取ってたけどさ。
その時は、私が唯一尊敬する大阪
のプロ二人が、私の席の後ろに
陣取って来てずっと私の玉を見て
いた。
試合後に、私に声をかけてくれて
いろいろアドバイスをくれた。
ハート、マインド、気構えはいい、
と。何にも動じない、と。撞き方
も相当撞き込んだのが見えるし、
ええ玉撞く、と。
でも、生活安定させんとね、と。
あんた、何かあって玉やめてた
やろ?と。
お見通しだ。
もうおひと方の教育的立場のプロも
私を掴まえていろいろアドバイス
をくれた。
試合後、会場見てたら、他の人に
は誰にもそんな事をお二人は言っ
てなかった。重鎮プロとしてニコ
ニコしてファンにサインしたりし
ていた。
ありがたい事だ。
大阪人、ええで。

私のボブ・ランデは撞くとシュピーン
という音がする。
ちょうど20年前に完全復元復活した。

Meucci のキュー

2022年02月25日 | open



私が1980年代のメウチキューで
一番好きなのは「ロード・エージェント・
シティ・オブ・ライツ」というモデルだ。
上の画像でいうならM-15。
現在もホール・オブ・フェイムNo.06
というモデル名でリリースされている
が、1980年代とは画風が異なる。

1980年代ものオリジナル。












街の夜景と家まで伸びるハイウェイ
とロードを行く車の図柄は変更ない
のだが、1980年代物はまるで水彩画
のようなぼかしで描かれている街の
夜景なのだが、現行品はゴッホの
絵のようなタッチになってしまった
のだ。
上掲画像の赤いラシャの上の個体
などはこのモデルの典型的な描画
のタッチだった。夕焼けが素晴ら
しい。

しかし、現行品はこうなってしまった。



う~ん。図柄は同じでも違うんだよ、
これ。違うんだよ。

やはり、こうであってほしい。


メウチの80年代オリジナルは
MEUCCI=ORIGINALという白文字
彫りのロゴが入っていた。
それが、後にMeucci,というロゴ
文字に変更になった。
ゴッホ風の荒いタッチよりも、
ぼんやりと夕焼けの空が描かれて
いるロード・エージェントのほう
が、画的にも秀逸のように思える。

実際にですね、1980年代に手に
取って現物を見たのね。
もうですね、ため息が出るほど
描画が美しかったのです。
な・・・んだ、これ、という程に。
昔はプリンター印刷は無かったから、
もしかすると、1980年代はこのモデ
ルに限っては職人さんが一本一本
エアブラシで塗装して描画していた
のかも。何本も見ても、どれ一つ
として同じ配色の物は無かった。

まるで、渋谷の五島プラネタリウム
で映写が始まる時に日が落ちて
行くときの映像のようなメウチ
のロード・エージェント・シティ・
ライツだったが、今のホール・オブ・
フェイムは図は同じでも絵画として
は方向性が全く別物、と思える。
私がバイクのヘルメットに夜景を
描こうかと構想しているのは、
このメウチの1980年代のキューが
原初風景としてあるからなんです
よ。
そして、アメリカというよりも、
東京から横浜に帰る道、という
イメージが個人的にはとても
強かった。絵を初めて観た時。
テイク・ミー・ホームという
感じで。
1980年代はムンクの「叫び」の
ようなタッチだけど、現行品は
まるでゴッホの「星月夜」や
「自画像」のようなタッチなん
だよなぁ。小さなマッチ棒が
並んだような。
やはりメウチのロード・エー
ジェントは、
ぼんやりとした
色混ざりでないと
なんだかなぁ、
てのはある。


こういうタッチのロード・エー
ジェントがほしい。スリーブだけ
でなくフォアアームの一直線の
ロードの
周囲の空気の色も。


エワ・マタヤのキュー

2022年02月24日 | open



1988年に全米女子プロたちを
日本に招聘してエキジビション
マッチのカードが組まれた。
赤坂のグリーンテーブルで。
それまで全日本に米国選手が
時々参加することはあっても、
大人数で選手が来日してプレー
するなどというのは史上初だっ
た。

全米女子プロの来日選手で
驚いたのは、ビジュアル的に
モデルさんのような選手ばかり
だった事だ。
日本のように「玉撞きが上手け
ればよい」というスタンスとは
大違いで、アメリカのプロプレー
ヤーはTV受けするように容姿
端麗で、かつ、身だしなみや
立ち居振る舞いでもエレガント
さを忘れないという本物のプロ
だった。

エワ・マタヤなんてモデルさん
かハリウッドの女優さんみたい
だったもの。


エワとウィリー・モスコー二


エワ・マタヤさん、日本でTV放送
されるというので、Tバックでし
た(笑)。
物を知らない日本人の男が「プレー
のためにノーパン!」とか言って
たけど、まだ日本ではTバックが
一般的ではなかったからだろな。


いやあ。皆さん華麗でした。
私はローリー・ジョン・ジョーンズ
本人を見て、かわいいんでビビッた
けどさ(笑)。うわ~、みたいな(笑)。
まじもんで、かーいかった。
(右上がローリー)

ジョーンズさんもまるで女優さんどした。


で、試合後何日か経って、グリーン
テーブルにフラリと行ったら、
㈱コスモ直営のグリーンテーブルの
オーナーのオサムちゃんがおいらに
言うのよ。オサムちゃんとは年も
近いしツーカーだった。
曰く、「あのさぁ、エワが使ってた
キュー買わない?」と。
なんで?と尋ねたら、来日して
壊しちゃったんで、本人から買い
取ったげたんだと言う。
メウチのこの上から3番目のDH-3
という
型番のキュー。デヴィット・
ハワード・モデルですね。


エワの実際にプレーで使っていた
そのキューを見たら、ジョイント
リングの下のバットに綺麗に縦割れ
目ちゃんが入ってる。
「ぼっこし壊れてんじゃん」と
言うと「プレーには支障ないん
だけどさぁ」とマスターが言う。
試しに1ラック撞かせてもらった。
「こ、これメウチなの?全然
一般製品ラインと違うじゃない」
と言ったら「そうなんだよ~。何か
多分彼女用に作ったカスタム」と
オサムちゃんは言う。
通常のメウチは腰が無さすぎで
ベナンベナンなキューだ。
エワ本人のキューはデザインこそ
一般製品ラインと同じだが、全く
撞球質性が別物だった。
当時、少し前にジム・レンピや
マイク・シーゲルのモデルも
メウチにはあったが、本人たちが
使っている実物は一般製品ライン
とはまるで違って特別厳選のスペ
シャルだったのではなかろうか。
シーゲルはその後ジョスと契約
を結んで、映画『ハスラー2』で
テクニカルアドバイザーを務め、
映画ではダン・ジェーンズの
JOSSの#18が「バラブシュカ」と
して撮影に使用された。
トム・クルーズはキューを振り
回すシーンのリハでシーゲルの
キューをぶっ壊してしまった
らしい。

エワのキューは壊れているとは
いえ、性能は頭抜けていた。
でもなぁ、割れてるしさぁ。
売値金額聴いても即金で買える
金額だ。おいらだから売ると
いう。他には出さない、と。
結局はプレー用にはリチャブラ
持ってるので買わなかった。
そしたら、オサムマスターは
言葉通り他には売らずに、暫く
自分がプレー用に使ってた(笑)。
25年後にコスモも別人に売却
した後にオサムちゃんと再会
した時(ワンコのシモンがいた
頃)、その話をしたら「だって
買わないって言うから俺が仕方
なく使ってた」と笑いながら
言ってた。
メインはその後はショーンだった
ね、彼は。おいらがリチャブラ
からランデ・ショーンに替えた時、
「お!偶然。わたくしもショーン
にしたのよ~」とか言って奥から
持ってきて見せてくれてた。
当時は珍しかった。ようやくその
後、入るようになって来た。
おいらのランデ・ショーンは
国内には1本も無い事も彼と
店長が八方情報集めてつきと
めてくれた。
当時、1軒だけショーン代理店
があったのだけど、米国の会社
の住所を尋ねたら教えられない
と取り付く島もなく断られた。
そしたら、コスモ=グリーン・
テーブルのスタッフが骨折って、
アメリカからカタログを取り寄
せてくれたんだ。コピーだった
けど(笑)。それさえ、国内では
手に入れるのが困難だった。
でも、それでようやく私のランデ
ラインのショーンの型番も判明
した。
この顛末はビリヤード雑誌に投稿
したら、まんま文章変えずに掲載
された。80年代末期の専門誌には、
私のその文章が載っている。

おいらのランデ・ショーンの
TADタイプリングのスペアシャ
フトを中古で探して輸入して
買い取って取り置きしてくれ
たのもオサムマスターだった。
ある日突然、頼んでなかったの
に「手に入れたよ」と。
「もしおいらが買わないと言った
らどうするつもりだったの?」と
訊くと「そん時ぁ俺が使う」と
言ってた。リング違うのに(笑)。
今のようにネット通販も無い時代、
スペアシャフト1本をアメリカ
から輸入するのも、ルートのつて
がないと困難だった。

そういえば、たしか、バーチか
どこかの男女ペアマッチのチーム
大会か何かにマスターに誘われて
同じチームで参加した時、彼は
エワのキューを持って行って使っ
てたかなぁ。
二人ともかわいい子(そこそこ
撞ける女の子)を連れて行って
たなぁ(笑)。
うちら二回戦負けだったけど(笑)。
マスターが業界つきあいから大会
進行途中まで会場にいて、その
後、4人でレストランで飯食って
都内に帰って来た。

この雑誌に載っている写真の
このキュー実物すね。その
キューは。
縦割れ目ちゃんが結構長くて
5センチほど地震の地割れみたい
にジョイント下にできてしまっ
てましたよ。
エワは、ブレイクもこのキューで
やっていたからかも知れない。


今考えたら、譲ってもらって
リペアで再生させてあげるという
手もあったなぁ、と。
でも、当時は国内にメーカー
以外のリペアマンなんてのは
一人もいなかったから。
吉村のおいちゃんとかはいたの
だろうけど、東京と大阪は世間
ではほとんど交流がなかった
ので情報不足でよく知らなかった。
東京で大阪弁が広く知られる
ようになったのは、1980年の
漫才ブームからだから。
大阪の人も東京の事は全く
知らなくて、一度上野で道
を大阪弁で地図見せながら
訊かれてさ。「このゴトチョウ
いうんはどうやって行きます
のん?」と。
「ゴトチョー?」と言いながら
地図見たら指してるとこは
御徒町(おかちまち)だった(笑)。
ゴトッチかと思っちゃったよ(笑)。

東京での大阪弁は、てなもんや
三度笠と一本槍の吉本新喜劇と、
あとは「いなかっぺ大将」の
西はじめと「あしたのジョー」
のマンモス西くらいしか触れた
事が無かったから、東京人は。
修学旅行で京都に行って、地元
のお店の人の話すのを聞いて、
「うお~!言葉が違う。映画
みたいだ!」とか感動してた
のが東京人だったしさ(笑)。
逆に関西でもそうだったらしく、
紳助などは「東京から転校して
来た奴おって、オレとか言う奴
映画の中だけやなくてホンマに
この世におるんや、と思った」
とTVで言っていた。
「関西はみな『ワシ』やで」
と(笑)。
京都大阪以西は自分の事は
男は「わし」ですね。
広島県などは明治大正生まれは
女性でも自分のこと「わし」と
言ってました。
幼稚園児も「わし」。
イトコが5歳の時に「この瓜は
わしのんど!おみゃーら東京へ
いねっ!」とか言ってました(笑)。
「おー!なんか怒ってる。でも
言ってることわかんな~い」と
思った。
東京から転居した今でも時々
地言葉が分からない事がある。
でも、東京弁も標準語ではない
ので、ネイティブ江戸弁だと
西日本の人や外国人は分からない
と思いますよ。
「しょっぱい」って分からない
でしょ?西日本の人たちは。
塩辛いこととも違うのよ。
料理だけでなく、しょぼいという
意味の時にも東京では使うけど。

エワ・マタヤ本人のキューを
撞いてみて、一つ勉強になった
こと。
メーカー契約しているプロが使う
キューは、一般ラインの物とは
違ってスペシャルだね、あれ。
これ間違いないす。
ワークスマシンみたいな物か。

撞球剣

2022年02月24日 | open

自分で使う撞球剣は四剣が好きである。


上からヘルムステッター、ボブ・
ランデ、ザンモッティ、ルーク
4号

左からペンレイ、ルーク6号、GB


Prはジナではと思う程に尻周り
等が似ている。


珍しい石垣の四剣。


リチャード・ブラック・ブシュカ。
私の個体は使えないキューだった。


芝生の下で眠るブルーアイズ。


ルーク6号。


ガスポール・ザンモッティ


60's


四剣が好きである。
全日本四剣倶楽部を作りたい程に。

でも今一番濃く愛用してるのは、
四剣ではなく丸坊主のツルッパゲ。
TADの坊主ではなく自作のルーク
7号、60インチ。
頗る性能が良い。
もしかすっと、アビリティはこれ
までで一番能力が高かったポール・
モッティを抜いてるかも。
それは言い過ぎとはしても、かなり
良い。撞いていて笑いが出てくる
感性に訴えるキュー。
扱いはシビアではあるが、自由
自在に手玉が出せる。キュー
切れ
良好。それでいて、入れも
堅い。
グッド。完成形。
お尻のウエイトは、バットキャップ
の中に50円玉をネジどめで仕込ん
でいます(笑




ビリヤード・プレーヤーズ・チェア

2022年02月24日 | open


この椅子を日本国内では全く見ない
のよ。
輸入物で2脚連結の物はあるには
あるが、1脚のこれが日本には無い。
皆無。

これくらいアームが広くないと、
コップを置いたりできない。


アメリカではごく一般的で、どこの
店にも存在する。座面高さが70〜
75センチ程の肘掛け付高椅子が。


明治から撞球王国であった日本で
この撞球椅子が存在しないのは、
日本がいかに椅子文化ではなかっ
たかを象徴している。
家具屋にしても家具職人にしても、
日本人は撞球選手専用椅子などは
その存在さえ知らないのではなか
ろうか。
また、斯界の人間たちも、低い
一般的床椅子のみで、この台面
全体を見渡せる座面の高い撞球
専用椅子をスポーツ文化として
普及させる事もして来なかった。
日本は、表面的にはビリヤード
先進国の風ながら、内実は文
的にはかなり西欧に遅れている。

撞球会クラブハウスには、アーム
付ではないが、ハイチェアを2脚
置いていた。


閉店激しい業界

2022年02月24日 | open


駅前にあったナルさんの店も閉じ
ちまったしなぁ。
一緒に焼肉食ったのが、ついこの
前みたいだ。
アリソン・フィッシャーのツーケ
がたまらねーね、なんてビール飲
みながら言ってた頃。

私が生まれた街の隣り街。
この目黒川の生湯につかった(死ぬだ


ちょい前の五反田駅前。
美味くはないが、馴染みの寿司屋
が駅前にあった。
高架線の山手線も東急線も、戦前
からこのあたりの風景は変わらな
い。


ロングブーツ

2022年02月24日 | open


女の子が履くロングブーツって
カッコいいよな。







いろいろ見てると、履きこなしは
上をざっくりとダボっとしたデザ
インで、カラーは明るい色系にす
ると重たくならないように思える。

まあ、被服はファッションでいう
なら女性服のほうが格段に男より
も幅広い。
こりゃ特権だべ。
野生動物と真逆で、人間は女性の
ほうがファッショナブルだ。



音 〜撞球〜

2022年02月24日 | open


撞いた時の音大切。
一つのバロメーターになる。
その際も「何がどうであるのか」
については、正しい認識を持ち、
正確な判断ができないとならな
い。
正鵠を射る事が叶わないと、
撞球においてはその利を失う。



音 〜刀術〜

2022年02月24日 | open

友人(置き斬、昨日)

私(置き斬、刃引)


(挿し斬)




切った時の音大切。
一つのバロメーターになる。
その際も「何がどうであるのか」
については、正しい認識を持ち、
正確な判断ができないとならな
い。
正鵠を射る事が叶わないと、武に
おいては遅れを取る。


グリーンバック

2022年02月24日 | open


財布は持たない主義だ。
札は裸でクリップでとめて持って
いる。
しかし、ビジネスの場面では財布
あったほうが何かといきがかり
上よいので、財布も使う。
私の札入れにはグリーンバックが
入っている。
テンバックスのほうは、本物では
なくルパン三世のおもちゃ札だけ
どさ(笑

シャフトの目を詰める道具

2022年02月24日 | open


何の変哲もないワインのコルク。
しかし、ビリヤードのキューの
シャフトの目を詰めるにはこれ
がとても良い。
シャフトは木工紙ヤスリでニス
を落としたのち、#1500あたり
まで紙ヤスリで丹念にこする。
先角は光るまでピカールで磨く。
そうやって撞き屋は誰もが自分
のシャフトを仕上げている。

しかし、さらに目を詰まらせる為
には、このワインコルクの腹で
シャフトをこすってやると、まる
で微細ガラスコーティングのよう
にシャフト表面が変化してツルツル
になる。
ツンツルテン。
「そこはつるんとしていた」という
やつだ。

シャフトの手入れさえきちんとでき
るのならば、グローブなどは一切
必要無い。
グローブなどは、繊細な感知を不能
とする物で、ある友人は「長靴を
履いて懸命に100mダッシュする
ようなもの」と称した。私個人は
「パンツ履いたまま子作り行為に
必死になるようなもの」と感じて
いる。理に叶わないからだ。
野球打者のグローブ、ゴルファー
グローブ、オートバイ選手必須
のグローブとは意味が違う。
釣りでグローブをする人もいるが、
フライフィッシングでは一人も
いない。いる訳がない。いたらパチ
だ。
フライでは微細で繊細なロッド先
の動きを感知したり、極めてきめ
細かいロッドの操作をしないと
毛鉤釣りができないからだ。

あくまで個人の趣味好みによるが、
私はビリヤードで手袋などを手に
はめてプレーしたりはしない。
生こそが繊細な操作を可能にする
からだ。
ギター弾き、バイオリン弾きで
手袋して演奏する人いないでしょ?
それに通じる。
これは、道理だ。
「滑り」を求めるならばシャフト
を手入れすればいい。

ビリヤードでのグローブ着用は否定
はしない。各人の好みだからだ。
しかし、メーカーの売らんがなの
広告塔の紐付きプロが着用し始め
たからと、雨後の筍のように軒並
み金太郎飴よろしく意味も分からず
ハヤリでグローブ使い始めた人間
が大量発生で、そのスタンスが
くそダサい。
グローブなどは40年前からあった。
なぜ、ここに来てみんな着けるの
か。
それはハヤリ乗りであり、確固たる
独立自尊の自立的認識からではな
い。
玉撞きって強固過ぎる程の「自分」
が確立されてないと成立しない
スポーツなのに。
ハヤリすたりでそれに乗るのは、
それはレジャーですね。
ニワカのキャンプブームのような
もの。
ほら、10年前には歴女ブームの
後に刀剣ブームが来たでしょ?
それが8年ほど続いたけど、本物
の刀好きなどは殆ど生まれなかっ
た。ごくごく微量だ。
元々刀などには興味も縁も無い
連中が、たまたまのブームに乗っ
ただけだから。
結局は、日本刀を使う武術とか
をやっている人間しか刀剣興味
の層は残らなかった。
今、また刀剣がぼっこしと売れ
なくなってきている。
客は正直だ。噂のうまいラーメン
屋にはハヤリだから並ぶが、全員
真にうまいラーメンを求める
食通ではない。すべてハヤリの
集団心理での行動でしかない。

ビリヤード業界では次は何か。
次に商人たちが目論んでいる何匹
目かのどぜうは。
私の読みは、ウエア類の販促だと
踏んでいる。
ビリヤード用シューズとかシャツ
とか、パンツ(ズボン)とか。
ビリヤード用肌着なんてのも登場
するかも。
そして、多くの人たちがそれらに
飛びつく。そうやって、仕掛け人
の仕掛けにかかって、大量水揚げ
となる。
生き馬の眼ではなく、活き魚の
眼を抜かれない泳ぎ回る鮮魚で
いたいならば、目に見えない網に
はかからないようにしないと、
活力あるトビウオのような飛行は
できない。

タップもね、100円台のプロタップ
で十分なんだよ。それで充分にマス
ワリもハイランもできる。
ギア選びと道具の厳選はとても
大切だが、もっと大切な事は、
道具を使いこなす腕なんだよね。
さらに一番最重要な事は、大通り
の群衆のパニックのような流れに
は乗らずに、冷静に物事を「見
抜く」事だ。真実を。

ビリヤードの世界では真実の本当
の事をあけすけに語っているのは
ラッキー菱沼さんで、オートバイ
の世界では本間ちゃんだろうなぁ。
ただ、本当の本物の当たり前の事
である真実部分を殊更に語らない
とならなくなった、物が見えない
という知らない人が増え過ぎた時代、
という事なのでしょうね。今の世相
としては。

タップくらい、自分で完璧に交換
しなよ。プレーヤーなら。
鉛筆削ったり、箸持ったり、自分
の靴紐を自分で結ぶのと一緒だよ。

試し撞き

2022年02月24日 | open


マイ玉は持っている。
左:ブランズウィック・セン
ティニアル。
中:アラミス
右:アラミス・ドットボール
(大きさが違って見えるのは、
スマホレンズが魚眼のため)

キューの撞き味のチェックは自宅
でもできる。ボールさえあれば。
台は無くとも、毛布の上にボール
を置いて普通に撞けば、撞いた時
のシャフトやタップの違いは感知
する事ができる。

よく、「ポケット・ビリヤードの
玉で何番のボールが好きか」とい
う質問がある。
皆さん9番や8番や10番と答えたり
する。
私は、手玉(笑

暴利チョーク

2022年02月24日 | open


暴利チョークが出始めた頃に買って
試してみた。
これは1個1500円で通常品の10倍。
実に馬鹿らしいのだが、試さない事
には論評できない。

ノリは非常に良い。まるで曲玉用の
チョークのように。
しかし、パッとキュー先から落ちず、
手玉にもねっとりと着いて、ある
特定角度の時のスロウ(※)でスキッド
が出まくる。
断言しよう。
良くないチョークである。
今ハヤリの暴利チョーク。
通常品の10倍の金額の価値は無い。
全く無い。

※スロウ
ラシャ上のビリヤードボールは
ある特定の角度のみ、摩擦の影響
で手玉と的玉の分離角度が開かず
に的球が狭く開いて「厚め」に
軌道がずれる。このズレの事をス
ロウと呼ぶ。
また、スロウと同現象がラシャ上
のゴミやボールの曇りや汚れに
よって発生する事をスキッドと
呼ぶ。無回転衝突や弱く撞いた
時に特に出やすい。
スロウとスキッドの防止の為には
手玉にヒネリを加えて、歯車作用
で的球にも回転を与えてやる事で
回避できる。
上級者がラストボールには必ず
手玉にヒネリを加えてパンと撞く
のはその為だ。

面白いキュー

2022年02月23日 | open


面白いキューがある。
以前、会議で本社に行った時、
ホテルに入ってから、無償に玉
撞きたくなった。
ホテルを出て、タクシーで郊外の
玉屋に行った。
店長代理の撞ける人とかなりの時間
相撞きをした。
その店でその店長代理の人にこの
キューを貰った。アダムのケース
まで付けてくれて。
ハウスキューだったのだが、使って
みて性能が気に入ったので、ぜひ
譲ってくれないかと申し入れたら、
そこまでお気にめしたのなら差し
上げますとの事だった。
感激したが、久々の東京もんの心
意気に触れた気もした。
ありがたく頂いた。


19.92オンス。重い部類だが、バラ
ンスが良く振り抜きもいい。
振動収縮性がかなりよい。
DCというブランドのキュー。
材料はアッシュ材だろう。


何と、ウエイトが無い。
無垢の一本
木か。それで、この重み。
バットのみで460グラムある。


シャフトは別物のシャフトが付いて
いた。別なハウスキューシャフト
なのだという。


125グラム。これも結構重い部類。


このシャフト、めちゃくちゃ切れる。
それなのに入れは堅い。
押し引き、曲撞き、なんでもこなす。
キューが切れてそれらを楽にできる。
極めて古い赤木のハードロックメイ
プル材だ。ハウスシャフトにもこの
ような物がごくたまーにある。


音は高い快音がする。木琴音。
良いシャフトだ。


ポーパーのハスラーケースに入れて
持ち運ぶ。
ブレイクもプレーもこのキュー1本
でこなせる。
こういうキューが性能的には理想系。