怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

鈴木宗男「闇権力の執行人」

2007-09-01 11:56:20 | 
疑惑の総合商社と言われて斡旋収賄で現在裁判中の鈴木宗男が、自分を裏切った外務省に対する宣戦布告の本。と言うか外務官僚の実名写真付きで徹底攻撃をしている。ここまで書いてしまうのという気もするが本人としてはいまだ刑事被告人でまだまだ甘いぐらいなんでしょう。
大使館の実態については、他の本でもいろいろ言われているが、監視の目も行き届かないのか、ほんまかいないなというようなことが一杯のようですね。大使館と言う独立王国で大使は王様で自由勝手に振舞えるし、国の対面を保つ為とか言う大義名分でチェック機能も働かない。まあ多少はいいかといってるうちに止め処もなくなってしまっているのだろう。
しかし外務省本省もそんなに無茶苦茶なのだろうか。鈴木宗男は盛んに闇権力と言っているがいまいちその実態が分らない。要は俺をはめた外務省高官の連中は、選挙と言うチェックも受けず、私腹を肥やし自己保身に走り、場合によっては外交機密も漏らし、書類の改ざんまでしていると言っているのだが、自己弁護の面も感じられる。しかし鈴木宗男がいろいろな官庁に恫喝と強要をしていたと言うことは否定できないのだし、無理を通して飛ばした役人も大分いたのでは。
外務省の中に派閥があり、人事を巡って暗闘を繰り返していたのは、あえて言えばどこでもあることでしょう。鈴木宗男自身がそれを利用しまた利用されたのでは。但しそのことが外交に混乱をもたらし国益を損じないようにはしなければいけないのだが。
同じ時に逮捕された佐藤優の一連の著書と比べると時代状況も含めたある面では自己も突き放した冷静な分析と言う面では劣っている。また歯科医師会の1億円献金事件では何となく奥歯に物が挟まったような記述に感じるし、なぜ野中広務については何も言わないのだろう。昔の親分にはものが言えないのだろうか。
国策捜査の犠牲になったと訴えているが、どうして自分が国策捜査の対象になったのかと言う分析が欠けているのでは。そこは闇権力に裏切られたからでは踏み込みが足りないと感じられます。
それでも権力内部にいたものの内部(今はもう外部でしょうが)告発としてなかなか迫力ある事実がてんこ盛りで外務省の人たちは困っているでしょう。鈴木宗男もそんなに悪でもなかったかと思った次第です。
コメント
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