怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

田村秀「暴走する地方自治」

2012-08-11 07:44:34 | 
巷では相次いで「改革派首長」が誕生、活躍している。橋下市長率いる大阪維新の会は日の出の勢いの中、国政進出を耽々と狙っており、その動向はマスコミをにぎあわせている。
これは混乱する国政のアンチテーゼであり、閉塞感漂う「決められない政治」を打破してくれる(少なくとも自治体レベルではそれなりの成果?を挙げている)という期待の現れでしょう。
この本は新書版ながら230ページあり、活字も小さい。地方自治の法制度的検討やら国際比較もあって、簡単には斜め読みして読み飛ばすことはできません。それでも、今の地方自治をどう考えるかについての適書です。

題名からも分かる様に「改革派首長」に対しては厳しく批判しています。大阪都、中京都、新潟州の胡散臭さを述べ、「改革派」たちが残したものを問うています。
しかし、それだからこそ、今、総選挙が近づくにつれ持て囃されている地域政党に危惧を抱きます。彼らにこの国のカタチを委ねていいのか。
最後の章で「改革派首長」の共通項を述べています。
① 抵抗勢力を明確にする
② 危機をあおる
③ マスコミにたびたび登場する
④ 外部からの人材登用に積極的
それぞれの詳しい説明は読んでいただくとして、ここから導きだされる姿は既成政党、官僚、組合への不満の受け皿として対立をあおりマスコミに目立って支持を集めようという姿勢です。
本来の地方自治の仕事はさまざまな身近な問題に時間をかけて解決していく、また住民基本台帳とか国保とか生活保護とか目立たない仕事を地道に間違いなく遂行して行くことがほとんどです。地域主権を叫び大都市だけの視点でものを申すのが日本という国の普遍性と整合できるのか、どうも地に足がついてないと思うのは私だけでしょうか。富士山のように遠くから見れば美しいけど近づくとごみだらけという姿にも思えます。それも賞味期限が来たらまた新しいうまそうなものを追っかけていくのでしょうか。それでも彼らが支持を集める現実も考えないといけないのですが、そこにあるのはポピュリズムが勝利する大衆社会なのでしょうか。
総選挙が近づきいろいろ騒がしい中、寝苦しい夜に頭を整理してみるのにどうでしょうか。
コメント
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