中国のGDPはいまや急成長を遂げて日本を抜き世界2位。近い将来(早くて2017年?)にはアメリカも抜き世界一の経済大国になると言われている。しかしいまや中国も潜在成長率5%の中成長モードに入っており、短期、中期、長期の問題が山積みで決して楽観できる状況ではない。
そもそも中国のGDPを始めとした統計はどれほど正確なんだろうか。人口さえも定かでない面がある。よく知られていることだが、現首相の李克強が遼寧省書記の時に駐中国米大使に「経済評価で注目するのは、電力消費量、貨物輸送量及び銀行融資の3データだけ。GDP統計は『人為的』で『参考用』にすぎない」と語っている。地方のデータを集計しているのだが、それぞれ地方は発展競争のために水増ししている。デフレータの算出根拠も公表されておらず、国家統計局が何らかの調整をしているとも思われている。電力消費量、貨物輸送量からみてみると2012年第2第3四半期のGDPは7.9%、7.5%となっているが、5%を割り込んでいるのではとなる。
リーマンショックの後、世界的景気後退に際し中国は4兆元の投資を行い、劇的効果を挙げ世界経済を牽引したが、今その後遺症に苦しんでいる。地方政府はインフラ投資の債務に苦しんでいる。重厚長大設備型産業は過剰投資で過剰設備と低稼働率に価格下落が続いている。成長率が低いからと言って、これ以上は無理な投資を行う余地はない。
中期的には中国は既に「ルイスの転換点」を通過したのだが、今後は賃金物価の上昇以上に生産性や付加価値を高めていく必要がある。そのためには効率の劣る国有セクターが膨張する「国進民退」問題、農民が都市戸籍に入ることを制限している「都市農村の二元構造」問題の解決が不可欠である。しかし、それはまさに既得権益との戦いになるが険しい道となりそうだ。
そして最大の問題が人口の高齢化だ。一人っ子政策は堅持されているが2010年の人口センサスによると中国の合計特殊出生率は1.18となる。少子化が問題となっている日本でさえ2011年で1.39である。北京市、上海市では0.71、0.74であり、市区ではほとんどが1を下回っている。総人口を推計すると2020年にはピークに達しそこから減少していく。生産年齢人口は2013年の10億人がピークで、そこから減少していくのだが、生産年齢人口比率では既に2010年にピークになっている。
中国は今後2020年以降には人口ボーナスではなく人口オーナスに苦しむことになる。
しかし、それでも一人っ子政策はなかなか変わらない。地方の計画生育委員会の既得権益となっており、罰金徴収等が地方政府の貴重な財源となっているからだ。
仮にこの政策が変わったとしても、日本や韓国の例を見るまでもなく、経済的負担が重ければ子どもを作ろうとしない。住宅政策から対応していく必要がある。
これらのことから総合的に見ると中国が7%成長を続け、人民元レートも年間5%程度のスピードでドルに対して切りあがり、早ければ2017年には中国がGDPでアメリカを抜く日が来ると言うのは幻想のようだ。5%成長は続けれるのだろうが、2020年以降は人口オーナスに苦しむことになり、アメリカを抜くことが出来ない。
中国に対する警戒感が強いのは、「中国が経済的にも軍事的にもどこまで強大化するかそこが知れない」と言う不安感があり、今のうちに行動しておかないと日本はますます不利になると言う焦燥感があるからです。しかし、このように中国は2020年以降は人口オーナスに苦しむと思えば、勢いのあるのも今のうち、あと10年を凌いでいくしたたかな外交が求められるのではないでしょうか。
そもそも中国のGDPを始めとした統計はどれほど正確なんだろうか。人口さえも定かでない面がある。よく知られていることだが、現首相の李克強が遼寧省書記の時に駐中国米大使に「経済評価で注目するのは、電力消費量、貨物輸送量及び銀行融資の3データだけ。GDP統計は『人為的』で『参考用』にすぎない」と語っている。地方のデータを集計しているのだが、それぞれ地方は発展競争のために水増ししている。デフレータの算出根拠も公表されておらず、国家統計局が何らかの調整をしているとも思われている。電力消費量、貨物輸送量からみてみると2012年第2第3四半期のGDPは7.9%、7.5%となっているが、5%を割り込んでいるのではとなる。
リーマンショックの後、世界的景気後退に際し中国は4兆元の投資を行い、劇的効果を挙げ世界経済を牽引したが、今その後遺症に苦しんでいる。地方政府はインフラ投資の債務に苦しんでいる。重厚長大設備型産業は過剰投資で過剰設備と低稼働率に価格下落が続いている。成長率が低いからと言って、これ以上は無理な投資を行う余地はない。
中期的には中国は既に「ルイスの転換点」を通過したのだが、今後は賃金物価の上昇以上に生産性や付加価値を高めていく必要がある。そのためには効率の劣る国有セクターが膨張する「国進民退」問題、農民が都市戸籍に入ることを制限している「都市農村の二元構造」問題の解決が不可欠である。しかし、それはまさに既得権益との戦いになるが険しい道となりそうだ。
そして最大の問題が人口の高齢化だ。一人っ子政策は堅持されているが2010年の人口センサスによると中国の合計特殊出生率は1.18となる。少子化が問題となっている日本でさえ2011年で1.39である。北京市、上海市では0.71、0.74であり、市区ではほとんどが1を下回っている。総人口を推計すると2020年にはピークに達しそこから減少していく。生産年齢人口は2013年の10億人がピークで、そこから減少していくのだが、生産年齢人口比率では既に2010年にピークになっている。
中国は今後2020年以降には人口ボーナスではなく人口オーナスに苦しむことになる。
しかし、それでも一人っ子政策はなかなか変わらない。地方の計画生育委員会の既得権益となっており、罰金徴収等が地方政府の貴重な財源となっているからだ。
仮にこの政策が変わったとしても、日本や韓国の例を見るまでもなく、経済的負担が重ければ子どもを作ろうとしない。住宅政策から対応していく必要がある。
これらのことから総合的に見ると中国が7%成長を続け、人民元レートも年間5%程度のスピードでドルに対して切りあがり、早ければ2017年には中国がGDPでアメリカを抜く日が来ると言うのは幻想のようだ。5%成長は続けれるのだろうが、2020年以降は人口オーナスに苦しむことになり、アメリカを抜くことが出来ない。
中国に対する警戒感が強いのは、「中国が経済的にも軍事的にもどこまで強大化するかそこが知れない」と言う不安感があり、今のうちに行動しておかないと日本はますます不利になると言う焦燥感があるからです。しかし、このように中国は2020年以降は人口オーナスに苦しむと思えば、勢いのあるのも今のうち、あと10年を凌いでいくしたたかな外交が求められるのではないでしょうか。