怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート コリン・ジョイス

2016-10-19 19:38:57 | 
よくある外国人の見た日本論なのですが、ちょっと目新しいのは著者が英国高級紙「デイリー・テレグラフ」記者ということなので、日本について送った記事がどういう扱いをされているかということがわかる点かな。
著者はオックスフォードを出てから92年に来日して公立高校の英語教師、ニューズウィーク日本版勤務を経て「デイリー・テレグラフ」の記者となっている。
ところで日本に来た外国人が頻繁に質問されることは「納豆は平気ですか」と「日本は好きですか」とか。
恐るべし納豆。ちなみに私は平気ではないです。
日本に来て味わった違和感とか感じたことがるる述べられていますが、まあ、よくあることですよね。欧米の国から来た白人だから優遇というか温かい対応をされている部分は多いと思います。
日本ではイギリスの食事は最悪という評価が定まっていますが、ベーコン、チーズ、パン、ビールについてはイギリスのほうが断然おいしいとか。紅茶も安くておいしいというのは文化の差でしょう。
ロンドンは東京よりもうんと国際化していてカレーについては本場顔負けだし、世界で一流と言われるレストランがいくつか店を構えている。
でも日本と決定的に違うのは食べ物に対するこだわりと食文化。著者が見るに日本はグルメの国なのです。イギリスはこだわりが少ないみたいですが、とするとフランスとはどうなんでしょうか。
まあ、そういう国際比較はいろんな人がいろいろなところで述べているので、フムフムと読んでいってください。
日本人は自分たちが世界からどう思われているかをいつも気にしているのですが、日本の姿を発信して伝えるのは著者のような特派員の書く記事を通じてです。
では本国のデイリーテレグラムは、送られてくる記事をどう紙面にしているのでしょう。
残念ながら高級紙の読者と言えどもイギリス人読者はほとんどが日本を訪れたこともなく日本に関する知識が乏しい。したがって関心も薄く、イギリスの新聞の国際面で圧倒的な分量は欧米主要国について、そして中東についての記事となる。それ以外では英語圏の国(オーストラリア等)となり、中国、インドについての記事もそれに次ぐ。
日本に関しての記事は読者の関心を呼ばないので、必然的にほとんど出てこない。政治も経済もトピックスな変化もなくて記事になりにくく、いきおい「三面記事」的なものになってしまう。郵政民営化は世界的には驚くようなトッピクではなくて、小泉首相の名前を知っている人は10人に1人もいないみたい…
日本社会の深いところで起きている変化は日々の情報の新しさに力点を置く日刊新聞にはフィットせず、記事となることはない。
そうなると「キワモノ記事」というかトランペットを吹くロボットとか、パラパラ、ルーズソックス、厚底ブーツのなどの話題は特派員にとっての日々の糧となっている。
著者は担当デスクが好むトッピクのリストをつくたことがあるそうだが、第2次世界大戦、相撲、ヤクザ、芸者、皇室、女性、若者文化、憲法第9条、奇妙な犯罪、加えて面白い展開があればパチンコ、宝塚、着物、演歌とか。
著者が記事を送っても読者受けがいいように内容は大幅に書き直され、見出しもより興味本位のものにされてしまう。場合によっては誇張されて事実が歪曲されてしまっている。
う~ん、なるほどなのですが、日本人にとっては残念ですね。これではいつまでたっても日本社会の現状は理解されません。それでも日本の新聞の国際面と比べるとデイリーテレグラムの海外ニュースは充実していると言われると、日本人がイギリスについてどれだけ知っていて、何に興味を持つのかを考えれば、そういうことか。やっぱり我々は井の中の蛙!
この本、14「特派員の仕事」イギリス人が読みたがる日本のニュースの部分だけでも一読の価値ありです。
それ以外はと言うと、それなりの知的発見というか気が付いていない事実もあって、まあ読んで損はないでしょう。
コメント
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