怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

長谷川洋子「サザエさんの東京物語」と「マー姉ちゃん」

2021-12-14 07:03:33 | 
NHKのBSで朝7時15分からは、過去の朝ドラを再放送している。
今は「マー姉ちゃん」です。

毎日見ているのですが、朝ドラらしからぬドタバタ劇の印象。
原作は長谷川町子の「サザエさんうちあけ話」なので、結構事実に基づいているのだろうと思っていたのですが、図書館で検索をかけると朝ドラを再放送していることもあって予約が入っていてすぐには読めない。
そうしたら長谷川家3姉妹の一番下の娘、ドラマでもよう子となっている長谷川洋子さんが「サザエさんの東京物語」を書いていて、これは図書館にあった。

ある意味、長谷川町子が書いたものより事実に即していると思うのですが、早速借りて読んでみました。
読んでみるとドラマはいろいろ事実を盛ってはいるし、ドラマを盛り上げるための人物も出てくることが分かるのですが、それなりに長谷川家の実態にに即していると言うこと。
藤田弓子演じる強烈なキャラのお母さんは、実際に家族の中では独裁者で、キリスト教にのめりこんで収入は惜しげもなくあちこちに寄付していたみたいです。身近にいたらとんでもない人なので禁治産者にしなければいけないと説教していたようなタイプかな。
毎年年末になるとまり子と町子が預金通帳をチェックしてどうしてこんなに残高が少ないかと母に問い詰めると平然と困っている人たちを助けたと言ってバトルになると言うのが恒例だったとか。それでも最後は母が押し切ると言うので、家族の中ではまさに独裁者。
その母も晩年は認知症になってしまい、老人病院で7年あまり過ごしたとか。最初に入院した精神病院では身体拘束されて薬漬けで寝たきりになったので無理やり退院させて知己の医者の病院で手厚い看護を受け7年間過ごし91歳で亡くなったたそうですが、介護保険制度もない身体拘束当たり前の安定剤と睡眠薬の薬漬けの時代の認知症患者に対する医療の実態が図らずも分かります。
そんな母ですが、町子を漫画家の田河水泡に伝手を通じて面会させて内弟子への道を開いたり、姉妹社を起こして「サザエさん」を出版させたりとここぞと言う時の決断力はある意味神がかっている。あちこちの寄付と言うか施しを惜しまなかった人なのに、亡くなった時には遺産は遺産は10億近くあったとか。その当時で億単位の遺産と言うのは大金持ち。寄付が回りまわってちゃんと自分に帰って来たと言うこと?まさに「情けは人の為ならず」
因みに長谷川町子が亡くなった時の遺産は莫大な額でしたが、著者の長谷川洋子さんは遺産放棄したそうです。さすがに信じられなかったのでしょう、隠し事がないのか著者と娘さんの財産調査をしたうえで国税庁から二人が来て事情聴取したそうです。その頃には洋子さんとまり子、町子の間は断絶状態で行き来なし。まり子からは亡くなった連絡はするな、弔問も遠慮してほしいと言うことだったみたいです。
妹から見てもまり子、町子の姉妹は強烈なキャラみたいで、普通の社会生活は難しかったかも。町子は完全な内弁慶で人見知りで人付き合いが大の苦手。サラリーマンの波平とかマスオがよく描けたものだと思うのですが、洋子の夫は元祖マスオさんと言うのか母のたっての願いで長谷川家に同居したので、そこらあたりがいいモデルになったのかも。姉のまり子は朝日新聞の記者と一度結婚しているのだがすぐに徴兵されて戦死。ドラマでは田中健が演じている記者ですね。
当然ながら町子は生涯独身でしたが、この本を読む限り普通の結婚はできないキャラだと思います。
朝ドラの本当のところはどうなんだといういささかゴシップ好きな好奇心を満足させれて面白く読むことができました。多分長谷川町子が書くと自分を客観視できない部分もあるはずで、かえって実情が分かったかも。それでも今度は「サザエさんうちあけ話」を読んでみますか。
ところで図書館システムで「サザエさんうちあけ話」を検索で探そうとしたのですが、「サザエさん内訳話」「サザエさんうちわけ話」では該当なし。試行錯誤して「うちあけ」でやっと出てきたのですが、なんだかな~
コメント
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