明けましておめでとうございます。
今回は自粛ムードの中、年末年始は時期ずらしの熱田神宮に地元の富士八幡、高蔵神社に参拝したくらいで静かな年末年始でした。
株主優待からのお取り寄せのおせちで朝からと言うかお昼からお酒を飲んで、ちょっと飲みすぎの正月でした。
そこで念頭を飾るブログとしてはふさわしいかどうか微妙ですがこの本のレビューです。
結構家庭の食生活の実態だけでなく家族の在り方まであぶりだされています。
著者が中心になって1998年から行っている「食DRIVE」調査。
対象は1960年以降に生まれた首都圏に在住する子供を持つ家庭の主婦。
調査方法は次の3ステップ
1ステップ;紙によるアンケート調査
2ステップ;決められた1週間の毎日3食について日記と写真で細かく記録してもらう
3ステップ;アンケートの回答と日記と写真を突き合わせて、対象者ごとにインタビュー。アンケートと実態とのギャップとか真相、背景を明らかにする
ここから普通の家庭の「和食」は、どうなっているか、実態を明らかにしているのがこの本。
和食は日本の伝統的食文化としてユネスコの無形文化遺産に登録されている。でも、有名料亭とか和食専門店とか寿司屋とかの外食ではなく、一般の家庭の和食はどうなっているのだろう。この「食DRIVE」調査によって明らかになったなっている家庭の和食の実態はちょっと驚愕。すっかり変容してしまい、和食が供されることも減ってきている。もはや和食は家庭ではなく外食で食べるものになっている。
まず、和食の基本中の基本、ご飯とみそ汁。今や朝食がご飯とみそ汁の家庭は少数派。4人に1人です。そう言えば我が家も朝食は基本パンとジュースとヨーグルト。1世帯当たりの年間のコメとパンの支出金額は2011年以来パンが上回っている。みそ汁は出汁を取ってという人は少数派で、レトルトやインスタントを欲しい人だけにつくるが優勢。そもそも食事に味噌汁がつきものと言うこともなくなっている。
そんなこんなで一汁三菜という言葉も死語に。何のことかわからない主婦が増えている。調査によると夕食に一汁三菜の形で出てくるのは週1回。それも主食、汁物、主菜、副菜というのとはちょっと違うのだが、梅干し、漬物、タラコ、納豆なども1菜と数えてのこと。ユネスコ無形文化遺産登録に際し一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは和食の大きな特徴とされていたのに、家庭では遺産を通り越して化石になっていた。
和風煮物とかは給食で初めて食べる子どもが増えていて、基本調味料もつゆの素やだし醤油、顆粒だしになっている。1週間の食卓に和風煮物が1回も出ていない家庭が3分の1以上とか。作ってもカット野菜で味付けも麺つゆとかというのが一般的。
魚料理は丸ごと1匹の魚の料理はほとんど見られなくなっていて、年中塩鮭、切り身に干物というものばかり。料理する時にはグリルではなくて焦げ付かないテフロン加工のフライパンが一般化。パックで買って冷蔵庫から出すだけのはずの刺身の出現率も減っているとか。
更にびっくりしたのは、箸さえも使わない家庭が増えていること。ご飯やみそ汁もスプーンで食べ、箸を使うのはラーメンとかの麺類の時だけとか。ご飯のお皿も洋皿で、みそ汁はマグカップ、最近では仕切りのある皿でワンプレートの食事が人気とか。仕切りも4では多すぎ、3が人気、いくつも仕切りがあると埋めるのが大変で、少ないおかずで見映えがよくなるには3がいい…ワンプレートだと洗いものが減るのも理由とか。
これらの変化の背景には、家族そろっての食事の機会が減ってきていることがある。いつも帰りの遅い父親とか勉強部活で遅くなる中高生がいると最早「サザエさん一家」的な食事風景は休日ぐらい。それぞれが都合のいい時間に食べるには鍋や大皿から取り分けるよりワンプレートの食事が便利。それにしても座る席も決まっていなくダイニングテーブルの空いたところとかソファーテーブルとかで一人で夕飯を食べるおとーさんの姿は、ちょっと侘しい。でも私も仕事で忙しかった時はそんなもんだったか…お酒を飲んでも「酒の肴」とか「つまみ」とかも消え去り、欲しい場合は缶詰とかコンビニで買ってきたものですます。
そう言えばお酒で燗をつけるというのはトンとなくなったような。近頃は純米吟醸酒の冷とか焼酎のロックを飲んでいます。一応つまみは用意してもらっていますけど。
家庭の和食が本来伝承されるはずの母から娘という伝承はいつの間にかなくなっていて、そもそも60年代以降生まれの人は母親と一緒に台所に立ったことはほとんどいなくなってきている。結婚前はほとんど料理をしなかった人が多数派になっている。自分一人でも料理をしていたという人はほぼ3分の1。実態を調べて見るとほとんど料理をしなかった主婦が9割とか。家族の伝承ではなくて料理は家庭科の授業と料理教室で習うものになっているのか。これでは面倒くさい和食が家庭料理の中で衰退するのはムベなるか。
家庭料理の変遷の中には、その背後に家族関係の変化とか働き方の変化とかが透けて見えます。
ちょっと衝撃的ですけど、家族という基礎的構造で日本文化がどう変わってきているのかがよくわかります。
写真も豊富に入っているのですが、章の途中にあるので読むときにちょっと前後しなくては行けないので、章の最後にまとめて紹介したほうがよかったのではというのは、どうでもいい私の感想。
今回は自粛ムードの中、年末年始は時期ずらしの熱田神宮に地元の富士八幡、高蔵神社に参拝したくらいで静かな年末年始でした。
株主優待からのお取り寄せのおせちで朝からと言うかお昼からお酒を飲んで、ちょっと飲みすぎの正月でした。
そこで念頭を飾るブログとしてはふさわしいかどうか微妙ですがこの本のレビューです。
結構家庭の食生活の実態だけでなく家族の在り方まであぶりだされています。
著者が中心になって1998年から行っている「食DRIVE」調査。
対象は1960年以降に生まれた首都圏に在住する子供を持つ家庭の主婦。
調査方法は次の3ステップ
1ステップ;紙によるアンケート調査
2ステップ;決められた1週間の毎日3食について日記と写真で細かく記録してもらう
3ステップ;アンケートの回答と日記と写真を突き合わせて、対象者ごとにインタビュー。アンケートと実態とのギャップとか真相、背景を明らかにする
ここから普通の家庭の「和食」は、どうなっているか、実態を明らかにしているのがこの本。
和食は日本の伝統的食文化としてユネスコの無形文化遺産に登録されている。でも、有名料亭とか和食専門店とか寿司屋とかの外食ではなく、一般の家庭の和食はどうなっているのだろう。この「食DRIVE」調査によって明らかになったなっている家庭の和食の実態はちょっと驚愕。すっかり変容してしまい、和食が供されることも減ってきている。もはや和食は家庭ではなく外食で食べるものになっている。
まず、和食の基本中の基本、ご飯とみそ汁。今や朝食がご飯とみそ汁の家庭は少数派。4人に1人です。そう言えば我が家も朝食は基本パンとジュースとヨーグルト。1世帯当たりの年間のコメとパンの支出金額は2011年以来パンが上回っている。みそ汁は出汁を取ってという人は少数派で、レトルトやインスタントを欲しい人だけにつくるが優勢。そもそも食事に味噌汁がつきものと言うこともなくなっている。
そんなこんなで一汁三菜という言葉も死語に。何のことかわからない主婦が増えている。調査によると夕食に一汁三菜の形で出てくるのは週1回。それも主食、汁物、主菜、副菜というのとはちょっと違うのだが、梅干し、漬物、タラコ、納豆なども1菜と数えてのこと。ユネスコ無形文化遺産登録に際し一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは和食の大きな特徴とされていたのに、家庭では遺産を通り越して化石になっていた。
和風煮物とかは給食で初めて食べる子どもが増えていて、基本調味料もつゆの素やだし醤油、顆粒だしになっている。1週間の食卓に和風煮物が1回も出ていない家庭が3分の1以上とか。作ってもカット野菜で味付けも麺つゆとかというのが一般的。
魚料理は丸ごと1匹の魚の料理はほとんど見られなくなっていて、年中塩鮭、切り身に干物というものばかり。料理する時にはグリルではなくて焦げ付かないテフロン加工のフライパンが一般化。パックで買って冷蔵庫から出すだけのはずの刺身の出現率も減っているとか。
更にびっくりしたのは、箸さえも使わない家庭が増えていること。ご飯やみそ汁もスプーンで食べ、箸を使うのはラーメンとかの麺類の時だけとか。ご飯のお皿も洋皿で、みそ汁はマグカップ、最近では仕切りのある皿でワンプレートの食事が人気とか。仕切りも4では多すぎ、3が人気、いくつも仕切りがあると埋めるのが大変で、少ないおかずで見映えがよくなるには3がいい…ワンプレートだと洗いものが減るのも理由とか。
これらの変化の背景には、家族そろっての食事の機会が減ってきていることがある。いつも帰りの遅い父親とか勉強部活で遅くなる中高生がいると最早「サザエさん一家」的な食事風景は休日ぐらい。それぞれが都合のいい時間に食べるには鍋や大皿から取り分けるよりワンプレートの食事が便利。それにしても座る席も決まっていなくダイニングテーブルの空いたところとかソファーテーブルとかで一人で夕飯を食べるおとーさんの姿は、ちょっと侘しい。でも私も仕事で忙しかった時はそんなもんだったか…お酒を飲んでも「酒の肴」とか「つまみ」とかも消え去り、欲しい場合は缶詰とかコンビニで買ってきたものですます。
そう言えばお酒で燗をつけるというのはトンとなくなったような。近頃は純米吟醸酒の冷とか焼酎のロックを飲んでいます。一応つまみは用意してもらっていますけど。
家庭の和食が本来伝承されるはずの母から娘という伝承はいつの間にかなくなっていて、そもそも60年代以降生まれの人は母親と一緒に台所に立ったことはほとんどいなくなってきている。結婚前はほとんど料理をしなかった人が多数派になっている。自分一人でも料理をしていたという人はほぼ3分の1。実態を調べて見るとほとんど料理をしなかった主婦が9割とか。家族の伝承ではなくて料理は家庭科の授業と料理教室で習うものになっているのか。これでは面倒くさい和食が家庭料理の中で衰退するのはムベなるか。
家庭料理の変遷の中には、その背後に家族関係の変化とか働き方の変化とかが透けて見えます。
ちょっと衝撃的ですけど、家族という基礎的構造で日本文化がどう変わってきているのかがよくわかります。
写真も豊富に入っているのですが、章の途中にあるので読むときにちょっと前後しなくては行けないので、章の最後にまとめて紹介したほうがよかったのではというのは、どうでもいい私の感想。