く~にゃん雑記帳

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<インドのパワーの源> 「〝多様性のつながり〟こそ活況の基礎」

2013年05月09日 | メモ

【京大公開講座で田辺明生教授】

 「アジアにおけるインド・中国のパワー」をテーマにした京都大学の春季公開講座(全3回)の第2回講義が8日、百周年時計台記念館で行われ、アジア・アフリカ地域研究研究科の田辺明生教授が「現代インドのダイナミズム―多様性社会の挑戦」と題し講演した。田辺氏は「〝多様性のつながり〟こそがインド活況の基礎。多様な社会集団がそれぞれの固有性を認め合うことが、民主化の進展と市場経済の拡大につながっている」と話し、「グローバル世界はこのインドの経験から学ぶことも多いのではないか」と指摘した。

 インドは1991年の経済自由化以降、年平均6%を超える発展を遂げてきた。この間、多党化と分権化が進み、低カースト民や貧困層、女性などが積極的に政治に関与。地方自治制度の改革などで指定カーストには〝留保枠〟として人口比に応じて、女性については3分の1の議席と役職が与えられるようになった。インドの経済規模は2060年に米国を抜いて世界第2位になる、とのOECD(経済協力開発機構)の将来推計もある。

 インド経済といえばIT産業を連想しがち。だが、大きく伸びて経済を支えているのは「大資本やエリートによる輸出中心の分野より、むしろ内需の拡大に伴う物資の流通や小売り、諸サービスを提供する業種」。インド社会の大きな特徴は多言語(260)・多宗教社会であること。公用語だけでも22に上る。「多様な社会集団が教育・就業・消費などを通じて市場経済に積極的に参加するようになって経済が活性化してきた」。

 カースト制度については「農民以外の様々なカーストは共同体に支えられながら特殊な知識や技能の継承と発展に従事し、インド社会に特徴的な文化的多様性が保持・発展されてきた側面もある」と指摘する。格差や不平等の解消は大きな課題だが、「克服への試みとして民衆の社会参加が進み、それが変化を促す大きな活力になりつつある」。田辺氏は1990年代以前を〝国家エリート主導型開発体制〟、現在進行中の体制を多元的社会集団による〝開発民主制〟と呼ぶ。

 インドにとって「教育水準の向上」は今後の大きな課題。識字率は着実に上がってきたというものの2011年現在で74.4%。なお人口の4分の1以上が非識字者というわけだ。大学就学率は18%足らず。教育程度にも依然大きな格差がある。その結果、所得水準にも大きな格差が生まれている。田辺氏は「教育とともに、エネルギーや交通などのインフラ整備も重要」と課題を挙げる。

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