京都国立近代美術館は、向かいの京都市美術館が印象派など一般受けの催しが多いのに対し、あくまで近代以降に焦点を当てていて素敵だ。昨年の堀内正和展など行こうと思う人以外は行かないだろう企画も結構多い。強迫神経症とまみえる草間の仕事は、芸術に生きる人間が凡人には理解しがたい繊細さ、緻密さとある種のこだわりを見せつける恰好の材料だろう。草間といえば、ニューヨークに拠点を持ち、これでもかと言うほどの無数の水玉(平面も立体インスタレーションも)や、精子を模ったとしか思えない造形が思い浮かぶ。あたりまえだが、草間が現在のような無数の点の世界を拡げる以前は普通の人体デッサンや肖像画的なものを描いていて、草間のドローイングに対する基本姿勢と基本的技術の高さを証明している。「少女時代から幻覚・幻聴といった体験にみまわれ」(加藤義夫「朝日新聞」1.28.)た草間の精神世界が今、楽しいほど破天荒、大規模なインスタレーションによって見るものの想像の範疇として体験できる。
goo blog お知らせ
最新記事
- AI、VRの怒涛に抗するために せめて「本心」だけは人のものに
- 巖さんは「神」、警察・検察等は「ばい菌」 「拳と祈り ー 袴田巌の生涯 ー」
- 女性も、移民も関係ない。音楽で繋がる、繋げる「パリのちいさなオーケストラ」
- F1の被災地をゆく「Weフォーラム 見て、聞いて、感じて 伝えてほしい」に参加して
- 旧ユーゴスラヴィア訪問記③ セルビア・ベオグラード
- 旧ユーゴスラヴィア訪問記② クロアチア・ドゥブロブニクとモンテネグロ・ポドゴリツァ
- 旧ユーゴスラヴィア訪問記① サラエヴォ、スレブニツァ編
- あの切なさがとても愛しい 「ぼくのお日さま」
- 銃後の民はグラデーションであるのにそれを許さない戦争とは「ぼくの家族と祖国の戦争」
- HistoryではなくHerstoryが描く、忘れてはならない歴史の暗部「流麻溝十五号」
最新コメント
- 文明論研究家/待っていた好著 『この国(近代日本)の芸術 〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』
- SAYUMI/ドイツ中西部の旅 2017ドクメンタを中心に⑤
- 早弓/「個人と個人、個人と集団との間に生じる齟齬」 隙間を「仮縫い」でまつろう試み 髙橋耕平展
- 技術Love/生活哲学とジェンダーフリーへジャンプ 『僕が家庭科教師になったわけ』
- 上々/生活哲学とジェンダーフリーへジャンプ 『僕が家庭科教師になったわけ』
- 早弓/戦争は、すべてを「人質」にする ジャン・フォートリエ展
- 早弓/戦争は、すべてを「人質」にする ジャン・フォートリエ展
- 早弓/2014夏北フランスの旅5
- 早弓/2014夏北フランスの旅4
- 早弓/2014夏北フランスの旅4
カレンダー
バックナンバー
ブックマーク
- ものろぎや・そりてえる
- 洋書の書評もあり、kenroでは手の届かないところまで網羅
- フェミックス
- kenroが長いことお世話になっています。「We」誌も充実した内容でいろんな人に読んでほしい雑誌です。
- 弐代目・青い日記帳
- 著名な美術ブロガーによる展覧会記です
- BLUE HEAVEN
- Takさんのページ。美術のことなら何でも。
- kogurearts
- 京都に住まうkogureさんのブログ、なかなかに土俗的?です