堤未果さんの「貧困大国アメリカ」シリーズは、完結編とうたわれてついに「株式会社」となった。そう、アメリカの政策は国家の意思というより、企業の思惑、戦略により決まるというのが実態であるからだ。今回堤さんの問題提起の中にアメリカ中心主義、グローバリズムという名の一企業独占主義を示すキーワードがいくつか出てくる。
たとえば「回転ドア」。あるいは「GM食品」。「回転ドア」とは、政権の中枢と企業のお偉方を行ったり来たりするそれこそ超富裕層の「1%」の人たちの転身パターンのこと。「GM食品」は、キーワードというより、今や世界を席巻する帝国(主義)が生み出した産物、それも人類の未来を左右する、かもしれない。あらためて言うまでもない。GM食品はカーギルなどの穀物メジャー、モンサント社などのバイオ化学企業が開発、販売した農民の自活、自立力を奪う悪魔の技術、遺伝子組み替え作物から生まれた食品。農作物、植物というのは本来、多年生で収穫した種苗を植え付けるものと思っていたら、遺伝子組み替え作物は害虫への耐性を高めたためか、は本当のところは分からないが、単年生。そして単年生とはすなわち農家は毎年種苗を購入しなければならないということ。そして、生産物もきびしい規格にさらされる。規格に合うよう、つくり作り続け、ウォルマートなど巨大スーパーチェーンに納品し続けるか、規格を無視して、自己の信念のもとに農作物をつくり続けるか。しかし、ウォルマートなどのチェーン販売網に乗らなければ市場に出ることすら難しい。そしてグローバル企業に対して価格競争に勝ち目はない。「回転ドア」によって政府にいる間は、企業に有利な政策を実行し、企業の上役になったときは、それら政策を実行する役人に献金する。こうして、1%はますます富み、99%は貧困から抜け出せない。驚くことに、貧困層に配られるフードスタンプさえ、巨大流通・食品企業の懐がより肥えるようなシステムになっていること。この国は、そう「株式会社」なのだ。
ナオミ・クラインが『ショック・ドクトリン』で明らかにしたのは、極端な新自由主義的価値観を有する知識層、支配層を途上国や紛争国に送り込み、政府、いや、企業の思うままの政策を実行する政権・政策を打ち立て、農民やその国の民の土地を奪い、利益を奪い、健康を奪い、安全を奪い、そして命を奪う姿。惨事便乗型資本主義は、アメリカ国内の一部企業の思惑で終わらない、アメリカという国自体がそういった企業論理で成り立っているということ。(日本にも迫る惨事便乗型資本主義 恐るべき事実『ショック・ドクリン』http://blog.goo.ne.jp/kenro5/e/c33d3a335e980c2771c0120039b8e4b5)『株式会社貧困大国アメリカ』は、ショック・ドクトリンの処方箋を、アメリカという国が内包化しているということと、そしてそれなしにはアメリカという国の存立基盤さえ危うくするほど国の下部構造イコールであることを示した。
『貧困大国アメリカ』や『続・貧困大国アメリカ』で国家政策の基盤となる教育や軍事が、資本の論理と企業の利益で決定、遂行され、その反復と拡大でグローバリズムという名の帝国主義が世界を席巻していることを明らかにした堤さんは、今、日本をアメリカ、いや株式会社アメリカの傘下となるTPPに警鐘を鳴らす。選挙前はTPPに慎重姿勢を見せていた安倍自民党は、あっさり交渉参加を決定し、米など5部門は守ると言いながら、確実に自国の農業やその他産業を株式会社に売り渡そうとしている。
堤さんの3部作は、アメリカとその資本の論理の構造と根底を知るに好著だ。プライベートで関係ないのかもしれないが、堤さんのお連れ合いは、HIV感染者としてさまざまな人権擁護活動をしてきた参議院議員の川田龍平氏。川田さんは現在、小泉構造改革をもっとすすめろとの理念で結党されたみんなの党所属。二人の間でどんな会話がなされているのかも興味深い。
たとえば「回転ドア」。あるいは「GM食品」。「回転ドア」とは、政権の中枢と企業のお偉方を行ったり来たりするそれこそ超富裕層の「1%」の人たちの転身パターンのこと。「GM食品」は、キーワードというより、今や世界を席巻する帝国(主義)が生み出した産物、それも人類の未来を左右する、かもしれない。あらためて言うまでもない。GM食品はカーギルなどの穀物メジャー、モンサント社などのバイオ化学企業が開発、販売した農民の自活、自立力を奪う悪魔の技術、遺伝子組み替え作物から生まれた食品。農作物、植物というのは本来、多年生で収穫した種苗を植え付けるものと思っていたら、遺伝子組み替え作物は害虫への耐性を高めたためか、は本当のところは分からないが、単年生。そして単年生とはすなわち農家は毎年種苗を購入しなければならないということ。そして、生産物もきびしい規格にさらされる。規格に合うよう、つくり作り続け、ウォルマートなど巨大スーパーチェーンに納品し続けるか、規格を無視して、自己の信念のもとに農作物をつくり続けるか。しかし、ウォルマートなどのチェーン販売網に乗らなければ市場に出ることすら難しい。そしてグローバル企業に対して価格競争に勝ち目はない。「回転ドア」によって政府にいる間は、企業に有利な政策を実行し、企業の上役になったときは、それら政策を実行する役人に献金する。こうして、1%はますます富み、99%は貧困から抜け出せない。驚くことに、貧困層に配られるフードスタンプさえ、巨大流通・食品企業の懐がより肥えるようなシステムになっていること。この国は、そう「株式会社」なのだ。
ナオミ・クラインが『ショック・ドクトリン』で明らかにしたのは、極端な新自由主義的価値観を有する知識層、支配層を途上国や紛争国に送り込み、政府、いや、企業の思うままの政策を実行する政権・政策を打ち立て、農民やその国の民の土地を奪い、利益を奪い、健康を奪い、安全を奪い、そして命を奪う姿。惨事便乗型資本主義は、アメリカ国内の一部企業の思惑で終わらない、アメリカという国自体がそういった企業論理で成り立っているということ。(日本にも迫る惨事便乗型資本主義 恐るべき事実『ショック・ドクリン』http://blog.goo.ne.jp/kenro5/e/c33d3a335e980c2771c0120039b8e4b5)『株式会社貧困大国アメリカ』は、ショック・ドクトリンの処方箋を、アメリカという国が内包化しているということと、そしてそれなしにはアメリカという国の存立基盤さえ危うくするほど国の下部構造イコールであることを示した。
『貧困大国アメリカ』や『続・貧困大国アメリカ』で国家政策の基盤となる教育や軍事が、資本の論理と企業の利益で決定、遂行され、その反復と拡大でグローバリズムという名の帝国主義が世界を席巻していることを明らかにした堤さんは、今、日本をアメリカ、いや株式会社アメリカの傘下となるTPPに警鐘を鳴らす。選挙前はTPPに慎重姿勢を見せていた安倍自民党は、あっさり交渉参加を決定し、米など5部門は守ると言いながら、確実に自国の農業やその他産業を株式会社に売り渡そうとしている。
堤さんの3部作は、アメリカとその資本の論理の構造と根底を知るに好著だ。プライベートで関係ないのかもしれないが、堤さんのお連れ合いは、HIV感染者としてさまざまな人権擁護活動をしてきた参議院議員の川田龍平氏。川田さんは現在、小泉構造改革をもっとすすめろとの理念で結党されたみんなの党所属。二人の間でどんな会話がなされているのかも興味深い。