kenroのミニコミ

kenroが見た、読んだ、聞いた、感じた美術、映画、書籍、舞台、旅行先のことなどもろもろを書きなぐり。

ノルウェー、ドイツ美術めぐり3 ドレスデン

2006-09-03 | 美術
第2次大戦で連合軍の爆撃により灰燼に帰したドレスデンがその美しい町並みの復活の道のりを歩み始めたのは東西ドイツの統一後数年経ってからである。その瓦礫の山を一つ一つ積み上げ、気の遠くなるような作業の末今年フラウエン教会が完成し、ドレスデンは今観光客でごったがえしている。とはいえ、ドレスデンの街の修復作業はまだ続いている。街の至る所が工事中なのは致し方ない。破壊されたドレスデンで生きながらえたのがザクセン王国のアウススト強王が造営したツヴィンガー宮殿である。現在宮殿内は7つの美術館、博物館からなっており中でも有名なのがアルテ・マイスター(古いマイスター=職人芸、名人芸 とでも訳すのだろうか)である。
「古い」というだけあって18世紀以前の絵画しか収めていないのがいないのがよい。ボッティチェリやマンティーニャなどイタリア初期ルネサンス期の作品から有名なラファエロの「システィーナのマドンナ」、ティツィアーノの「貢の銭」、コレッジョの「聖ゲオルギウスの聖母」、カラッチの「聖母の戴冠」などうれしくなる。アウグアウト強王は勢力にあかせて美術品を蒐集しまくったらしく、イタリア絵画以外にもエル・グレコやベラスケスなどのスペイン絵画、レンブラント、フェルメールなどのフランドル、そしてもちろんお膝もとのクラナッハやデューラーなどうっとりするほどだ。ちょうどクラナッハコーナーを開催していて幸運だった。
そしてザクセンのアウグスト強王といえば錬金術師ヴェトガーに作らせたマイセン陶磁器。宮殿の陶磁器コレクションはとてつもない数の焼き物が。大きな伊万里までお目にかかれてすばらしい。規模は小さいが彫刻コレクションもいい。
宮殿の斜め向かいのGrunes Gewolbeは最近開館したらしく、装飾工芸品の美術館でゆっく見回れば1日はかかろうというもの。職人の国だけあって本当に細密な技巧の粋が楽しめる。残念ながらアルベルティヌム(ノイエ・マイスターを併設)は閉館中だったが、どの美術館も歩いて行ける範囲ににあり、また一度訪れたいものだ。
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