kenroのミニコミ

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飛躍する芸術家の登竜門となるか   神戸ビエンナーレ(1)

2009-10-12 | 美術
神戸ビエンナーレは2007年に引き続いて2回目の開催となる。日本で数年に1回開催される芸術展は、横浜トリエンナーレや越後妻有トリエンナーレが有名で、ビエンナーレという2年に1回開催という試みは、震災復興の象徴と位置づける神戸市の野心の現れと見ることもできるであろう。
先輩格の横浜トリエンナーレが総合ディレクター川俣正、招待出品者に蔡國強など超有名アーティストを擁したのに対し、日本を代表する港町として対抗心のある神戸は、若手アーティストの登竜門的エキシヒビションを前面に出しているように見える。今回もそれは如実で、現役の大学院生の作品もある。
実は、神戸ビには、今回もボランティアとして参加していて、制作ボランティアとしてグリーンアートコンテンナのイピリマとメインのアートコンテナで特別賞を受賞したどちらも東京工大出身の伊庭野大輔と藤井亮介のユニットによる「Walk into the Light」を少し手伝った。また会場ボランティアとしても開催中の店番(?)、観客整理などを手伝ったのでその上での感想。
若手アーティストの登竜門と先述したが、なるほど今回入賞すればその後のアーティスト生活に「泊」が付くであろうし、将来神戸ビが世界的アート発信源になった時に神戸ビ出身ということであれば芸術家生活として成功が約束されるかもしれない。
作品をまだすべて見たわけではないので、手伝ったりしたコンテナを中心に。
「Walk into the Light」は、理系出身のユニットらしく、綿密に角度を計算された鏡を何千枚も貼り付けた壁面に光源がきらきらと彷徨う、万華鏡の中に入り込んだような幻想的かつ土ボタルあるいは満天の星空を想起させるコンポジション。なんらかの光を題材にしたインスタレーションはとかく効果音を備えがちであるが、「Walk…」は効果音も一切なしのところがよい。しばし、きらめく無数の点光に見とれてみては。
ビエンナーレ大賞を受賞した戸島麻貴の「beyond the sea」は、「Walk into the Light」の隣にあり、どちらも行列して待たねばならない。「beyond…」は東京藝大先端芸術表現科出身の作者により映像表現の面白さを満喫させてくれる。砂浜のイメージのキャンパス(といっても床に敷き詰めている)に次々と現れるイメージは砂浜というエコロジカルなアナログと、映像が矢継ぎ早に変化するデジタルを同時に経験でき惹き込まれる逸品。
13分のタームというのになかなか出てこない観客もちらほら。じっくり、ゆっくり見とれる作品は、現代芸術のインスタレーション優位の中にあって普遍性や永久性、持続性をも期待させる。(「Walk into the Light」)
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