チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

マジョリカお召し

2008年10月22日 13時52分20秒 | 日記
「衣」は着る人の気持ちを表す
最近の動物衣装はともかく
衣装を身に付けるのは人間のみ
とくにきものには思いが連なる

昨日は
「三丁目の夕日」で使う
主要女優の衣装合わせを稽古場で行った
昭和三十年代なので
当時を知っているだろうと
衣装プランのお役を引き受けている

洋服を散々着ていた頃なので
アレコレとアドバイスは出来るが
逆にきものになじんでいなかった分
きものと其の日常を母や姉そしてお姉さん方を思い起こすしかない

其の中で
マジョリカお召しというのがあったことを思い出した
ショパンが恋人ジョルュジュ・サンドとともにマジョリカ島に住み
子犬のワルツや雨だれを作曲した島だ

其の島にある壁画やマジョリカ陶器の柄をもじって
お召しに織り上げたはだれ
いいセンスしている!
西陣や十日町でつくり一世を風靡したきものだ

当時としてはというより今でも斬新なデザインと色使い
更に金銀の糸を織り込んだ豪華さが受けて
きものに羽織にそしてコートにと全国規模で流行した

そうだそれを使おう
知人の手持ちのもをお借りするが
寸法が今の女性には合わない

東京衣装さんが用意してくれたマジョリカお召しを
母子役の音無さんにみせると
「わたし質素な役だから光っているものはどうもーー」
としり込み
「でも当時最もはやった着物なので、時代を出すためにも着てください」
と半ば強引に押し付ける

演出家の堤 泰之さんは
「へーコレがマジョリカお召しですか」
といたくお気に入りくださる

小ぶりな羽織も
洋服の上に羽織るとモダン

乱菊が背中一面に咲く
こんな思い切った
そして美しい色の配色
こういうきものや羽織を平常心で着ていた
昭和三十年代のお母さんやお姉さん
凄いですよ、尊敬するうーー
きものを着るのが楽しかったに違いない

もう一度そういう時代が来ないかなあ
町が世の中が明るくなるです ハイ
コメント
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