チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

処暑

2011年08月24日 11時41分14秒 | 日記
昨日から処暑に入った
しかし東京の天気処暑に入る前に一気に秋になり
処暑の声を聞いたら暑さぶり返し
でもどことなく秋

暑さは確実に収まっていくようだ
でも今年は蝉の声が少なかった
石神井の三宝池に犬を連れで散歩に行ったら
ヒグラシが鳴いていた

土が湿り
その土の上を犬が歩きたがる様子が
なぜか哀れを誘う
コンクリートの上しか歩いていない犬のなんと多いこと

人間も土の上を歩くが良い
犬と一緒にチャコちゃん先生も裸足になって土の上を歩き
その冷たさと温かさがとても気持ちよかった
何か生き返った感じがする

犬は草を必死に食んでいる
こうして内蔵の調製を図っている
人間に飼いならされたといってもこういう本能は残っている

しかし緑の無いところを散歩する犬はどうなのだろう

犬はつながれて散歩するが
猫は勝って気ままに自由に歩いている

ベンチに座って猫の様子を眺めていると
眺められている自分をまた眺めているような思索的な様子を見る
そのうち
「あんた何でそんなに私を眺めているの」
という問いかけの目線を送ってきた

それでも黙ってみていると
伸びをしたりあくびをしたり首をかいたりなめたりと
色んなポーズを見せてくれる
「柔らかくてすごいねキミは、骨があるのかね」
自分の才能の全てをことごとく大ぴらに見せてツイと
そっぽ向いて茂みに消えてしまった

その間つながれた犬はひたすら草を食んでいる

処暑は物憂げだ
全てが疲れて見える
人間にたとえると定年後のすぐの男たちの姿のようだ

新しい人生に挑戦したいが今すぐにはその勇気がない
やっと自由の時間が出来たからのんびりしたいが
どう時間をすごしたらいいかわからない

この池の周りにもそういう男たちがひたすら早足で歩いている
ただ歩いている
散策でもなく、周囲を見渡すでもなく
どこを目的にするのか歩くということをただ目的にして歩いている

同じ年恰好の女達はグループで吟行をしたり
小さなスケッチブックをもって池の景色と格闘している

こういう男女の少年少女時代はどうだったのだろうと
想像しながら歩く処暑

コメント
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