チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

黄金色と能登上布

2011年09月12日 11時38分54秒 | 日記
能登半島のコシヒカリは黄金色に輝いていた
穂が重そうに頭をたれていた
昔の人は言った
「稔るほど頭をたれる稲穂かな」
ほんとだなあーー

能登上布の取材をする
外国からの紡績麻糸で織っているが
細やかなそして単純な絣が美しい

30年前に取材に行ったときには組合もあったが
今はただ一軒 山崎織物工房のみ
10年前に「もう終わりかもしれない」とおっしゃっていたが
息子さんが後をついで7年

「ちょまも植えてみたんですよ」
ととても前向き
嬉しい

石川県の指定無形文化財にも指定されているので
この技術をつないで言ってほしいとつくづく思う
笑顔の美しい温かい人柄で
これからいい上布が出来るのだろうと期待も弾む

中能登地方は古代から麻の栽培が盛んで
糸を績む人もたくさんいた
しかしあの昭和20年GHQの麻の栽培禁止法が成立したあと
一気に能登上布の生産は落ちた

日本の人々は「夏は麻を着る」
これが当たり前だったのに
「夏も化学繊維のものを着る」と石油礼賛になった

それはならじと
町を揚げて能登上布の伝承に取り組み始めた
「能登上布会館」では
高齢者が楽しそうに能登上布を織っている
本当に楽しそうだ
もちろんここでも購入することが出来る

「60歳から織りはじめたんですよ」
という方の手元には能登上布独特の亀甲絣が織り出されている

「これからは稲刈りが始まるのでしばし休憩です」

急がずでも集中して楽しく織り続ける人たちの笑顔が素敵

しかし黄金色の波も続かずところどころ土が掘り返され
そのあとに大きなショッピングセンターが立つ予定だという

街道には自分達で育てた野菜や果物を直販している場所もあり
「流通」というのがハッキリ見直されつつあるのだと確信する

勘に頼って「寿司屋」に行く
美味しかっただいいちネタが新鮮
聞くと東京の吉祥寺で修行した大将で江戸前、男っぷりも
玉を頼むと目の前で焼いてくれてこれがまた旨い

何より水の美味しさに感嘆していたら
毎早朝山の上まで行って山水を汲んでくるのだという
「お酒もおいしい?」
「もちろんです」
その水で米も美味しく織りも美しい

田んぼを潰して宅地にすれば水の性質も変ると
大将は顔を曇らせていた
コメント
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