チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

刑務所で作られた手仕事

2013年05月06日 08時25分20秒 | 日記
昨日ぶらぶら新宿の町を歩いていたら
「刑務所で作られた手仕事展」
という展示販売会の会場に出くわした
「面白そう」
と思い一点一点丁寧に見て回った

本職の職人の技術と変わらない
いやそれ以上に丁寧かもしれない
まさしく手仕事であるしかもすべて高級家具だ

いまはもうどの家具屋さんには無く
骨董品屋でしか見られないような昔なじみの箪笥や鏡台もあって
いきなり両親と暮らした昔の家を思い出したほどだ

総桐の衣装筥が目に付き中身を見ると角角も綺麗に削ってあって丁寧な仕上げ
二段でちょうど一式のきものと帯が八セットは収まる大きさ
ピピピーと帯ダンスの上に置きたいなと思い値段を見ると4万円
「買だわ」
と思った瞬間
刑務所という文字が躍る

確かに丁寧だし仕上がりも素材も良い
でもその刑務所の中でどんな思いでこの家具を作ったのだろうと言う思いが
頭をかすめたらもういけません

多分ずっとこの筥を視る度に何か考えるに違いない
きっと一生懸命身体を動かしているのが楽しくて作っていたに違いないと思う
お財布にいった手が止まってしまったので
もう自分自身の感じ方を尊重するしかない

しかしいい作りだった
他の渋くて品の良い箪笥も通常の10分の一の値段
買い得ではある
コメント
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