チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

文楽の千秋楽

2013年05月28日 09時05分16秒 | 日記
今年は竹本義太夫300回忌記念だとかで
曽根先心中・心中天の網島の二大心中物が東京国立小劇場で演じられた
共に近松門左衛門の代表作
両方共に郭に通い詰めた商人と遊女の恋の成就のための心中

曽根先心中は吉田簑助師匠とその大大弟子桐竹勘十郎
此の二人の曽根先心中は何回も観ているが毎回美しさが研ぎ澄まされていき
息を止めてみるほどに集中してしまう
形の美しさもさることながら
はっきり人形が意志を持って演じていた
鶴沢寛治さんの太三味線も人間業ではない
ということで堪能

そして夜の部心中天綱島は小春役は桐竹勘十郎、治兵衛役が吉田玉女
お二人とも立て役つまり男役の名手だし
特に玉女さんは武将がお得意芸なので世話物をどう演じるのだろうと興味があった

満席の中やっと取れたと電話をいただき観てきた

話はそれるが
文楽にいらっしゃるお客さまその人らしい個性を持った着物姿の方が多い
その姿を見るのも楽しみ

まず売店に顔を出し知り合いの店主に
「またきたよ」とご挨拶
 
一部は病上がりの竹本住太夫さんの元気な姿に接して安堵

さてお二人
絡み合うのが最後の道行きなのだが
まだお二人の息はかたいなあと思った
勘十郎さんの小春は可愛いし色気がある
でも何だか足りない

そう思っていると文雀さんが治兵衛女房おさんを演じてその自然体の中にハッキリと人形の意志を感じた
動きがもう形を越えて自然体
勘十郎さんに何か足りないと思ったのはこれだな

その話を売店の女主にしたら
「ナカタニサン厳しいんだから新聞では褒めていたんですよ」
「でも今後が楽しみよアノ新カップル」
「そうですね」

久し振りに満足な5月の文楽公演


コメント
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