なじんだものを手放すのはかなりの勇気がいる
すべての「モノ」に神宿るという考え方が日本人
使い切って使い切って処分するというのが昔の日本人
そのため「安物買いの銭失い」という言葉もあった
いいものを身の回りにおいていつくしむ心が大切だと、そしてそのモノの使命が終わったら潔く処分する
友人が経営する会社に女会計士がいた
当時はバブル真っただ中チャ子ちゃん先生もいい気分で消費をしていた
しかしその彼女いつもいつも同じハンドバック、靴もそう、更に着ている洋服もとっかえひっかえではない
でも有名ブランドのものだから仕立てはいいし貧乏くさくはない
「そのバックよほどお気に入りなのね?」
思い切って聞いてみた。答えは
「モノはだめにならないと新しいものは購入しないの」
「へーー」
腰抜かすほど驚いた
ご主人は有名カード会社の日本支社長、本人も高給取りだ、浮かれている人々の中でこういう人もいるのだと心底驚いた
「ご主人もそうなの?」
「主人がそういう考えの人なんですよ、でも私もそう思う」
「はーー」
私は絶対できない
ある時そのおうちに呼ばれた。ご主人の手料理は一流シェフそのもの、更に調度品,、什器、家具、料理を乗せる器も高級品で美しい。何もかにもが整っていて映画のセットのようだと思ってしまった。もちろん家屋も超立派、庭は庭師を雇い美しい。部屋は整理整頓されていて余分なものは一切目につかない
なるほどこういう生き方なのね
その女性の佇まいも品がよく静かだもの
なれるか?なれないと即答
その女性はしばらくして友人の会社を辞めたのでご縁がなくなった
ところが昨日電車の中でぱったり
「これから○○さんにあうのよ」彼女が務めていた社長とおしゃべりしようという日だった
「私も時間があるのでお会いしたい」
三人で盛り上がる。件のご夫婦は何もかも手放し、武蔵野の奥に引っ込んで自給自足の生活に入っているのだと、日焼けした顔で生き生きと近状を話してくれた
野菜送りますね!と言ってくれた。うれしい
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