55歳になったとき声楽を始めた
業界で「せんせい、せんせい」と言われ、かなり重い仕事もしていて、とても「たかぴー」になっていた
自分の仕事に全くつながらない趣味持って、鍛えなおそうと考えた。選んだのが声楽
そのころチャ子ちゃん先生の秘書をしていた人が「ママさんコーラス」に入っていて相談したところ
自分の先生は女先生だけど、夫君の男先生が声学家を育てているその先生についたらどうでしょう?と提案してくれた
伺ったら「僕は素人は教えない、コーラスのほうに行ってください」とけんもほろろ
しかし話しているうち同郷だとわかり、少しずつ打ち解けた時、奥様の女先生がとりあえず声出してみたら?ととりなしてくれて何とか弟子にしていただいた
声は出ないが音符は読める
きものに関係はないと思ったのに、声の出し方がきものの姿勢に通ずる、更に骨の動かし方がなんと着付けの時にも使う骨、そんなこともあって声楽の面白さにはまった
30人くらいのお弟子さんの中で、素人は私一人、二期会に入っている方や舞台に出ている方も多い
そういう人の中で発表会に出てみなさいという
とてもとてもとしり込みする私に、女先生が
「私たちがどれだけみんなが成長したかを知りたいのよ、舞台に出て歌うということは中谷さんにとっても意味がある」
まさしくその通りで、日本語の美しい発音の仕方、言葉は言霊なのできれいにしっかり発音することが大事
日本語の練習が始まった、言葉の指導は女先生
常日頃は女先生とても家庭的で、夕飯を作ってくださったり、おいしいお茶を入れてくださったり、更には声の出ない私用に選曲をして楽譜を書き直しても下さる。常に夫を立てながら控えめにしていらっしゃる
しかしいったんレッスンとなると厳しい、歌詞の意味をどう表現するか、言葉のフレーズのつなぎ方など細かい注意があり、できるまで何度も繰り返させる、容赦ない指導
お二人とも芸大出身のオペラ歌手、現役引退のあと後進の指導に当たっていらしたので、素人のチャ子ちゃん先生には手を抜くかといえば、それはない、舞台での感想も手厳しい(私プロではないのだからゆるして)
そして両先生の指導の下来年は「八十路の会」を開こうとお二人が私を指名してくださった
曲が決まり細かい言葉の指導が始まったその時、女先生はがんに倒れ今朝逝かれた
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