チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

肝が据わる

2023年11月27日 09時49分06秒 | 日記

明治15年に開校された福岡女学院はプロテスタントの宣教師によって開校されたという

この学校の同窓会会長を務めている野田幸子さんのご尽力で「シルク時空をこえて」の上映会を開くことができた

16世紀フランスのプロテスタントの人々によって養蚕が盛んになったけど、国を追われ今度はヨーロッパの各地に散って、養蚕業をすすめ、更にまた国を追われ新天地アメリカに移住し、そこでも養蚕を広めた

「蚕」はあの小さな体で世界をかけめぐって私たちに絹というたぐいまれな布を授けてくれていた

しかし20世紀に入り化学繊維の方が労力を使わず「金」になるということで化学繊維は一気に世界を制圧してしまい、絹は王侯貴族のもの、絹は弱い、絹は洗濯できない、絹は――絹は――とその弱さを宣伝され、養蚕業が衰退して今になる

 

こういうチャ子ちゃん先生の話に耳を傾けてくれた野田幸子さんは、同じプロテスタントの思想を持つ母校での「シルク時空をこえて」の上映を決心してくれた

開演の当日に至るまで、日本の近代国家を培った「生糸」の話を伝え続けたが、耳を貸す人は少なかった。

しかし今この映画の内容を若い学異性たちに見てもらい、日本の先人たちの思いや働きを再認識し、日本人としての誇りを持ってほしいという気持ちで、幸子さんは多くの人に声をかけた

それは我々の祖先が、未知のものに対しても果敢に行動する姿を見てほしいという思いもあったのだ

しかしまず同窓生たちへの呼びかけに苦労する。きものを着る人も少ない今「何でシルク?」そんな映画を見せて人が集まらず失敗したらどうするの?いろんなマイナス言葉を浴びせられながら上映にこぎつけ、それは大盛況だった

なぜ?

この映画を見ることで信仰という本来誰でもが持っている、日本人なら日常でもある、自然崇拝のと生命あるものに対する感謝の気持ちがよみがえることを幸子さんは感じていたから、「最悪の場合はすべてに責任を取るし、赤字になれば自分が負担する」という肚が決まっていたから

 

反対を唱える人たちと戦わず、意見をしっかり聞きでも私はこういう理由で、この事業をした方がいいと思う

という柔らかい態度で反対意見を否定せず、受け入れたうえで自分の意見を変えないという態度

野田幸子さんは、学校の名誉、卒業生の誇り、在校生の希望を、同窓会会長として果たしたとチャ子ちゃん先生は感じた

 


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