時流に合ってない仕事

「大体チャコの仕事は時流にあっていねえよ」
呼び出され説教されたチャコちゃん先生
たった一杯のロイヤルミルクテーでーー

「これから資本主義が崩壊する時代にそんな仕事すると苦労するだけだ」
「うっせー」
「大体日本だ日本だ日本の文化だなんて大層なことを言っても
どうにもならん時代がくるんだよ。文化じゃあめしく食えねーぞ」
「だからどうなの」

「実は俺にもわからん」
「だったら説教するなよな」
「きものなんて所詮は消えていくよ」
「そうは思わない」
「どうして、見渡してご覧チャコ一人だぜこんな大勢いてもきもの着てるの」
「きものは日本文化の基礎だモノ、ジーンズの歌舞伎なんて考えられる？
コスプレの舞妓だったらどう？仕草とか美しさ何も無いもの」
「極端なこというなよ」
「言わなきゃわかんないでしょう?」

まあありがたいのですね
こうやって歯に衣着せず意見を言ってくれるのは
この男学生時代からの友人なのだが
昔から
「時流に乗っていない仕事をどうしてするのだ」と
会う度に文句をつける
ご自分は安穏とした高級官僚として人の税金で生活している

「あなたね炬燵に入って雪景色を見てアレコレ言ってるのとおなじよ
自分も雪の中に出て来てご覧、みんなと力わせて雪かきしたら？」

確かに成功するのは時流に合った仕事をするのが一番
成功術という本を立ち読みすると
必ず「時流に合った仕事をしよう」
という一文が目に付く

チャコちゃん先生ずっと時流に合わない仕事をしてきた
高度成長期、バブルの頃のきものの売れ行きは凄かった
しかしその着物を作っている人たちは幸せではなかった
本当に作りたいきものではなく
ギンギンギラギラちゃらちゃらしたきものを作らされていたから

オマケに大儲けした商人は
その儲けを作る人に手厚く配るのではなく
ポッケないないして
なんとニューヨークの五番外街のビルを買ったり
ロスアンデルスのホテルを買ったり豪勢な金の使い方

そちらで踊ればチャコちゃん先生も時流に乗ったのだろうが
ここは作る人のほうに気持ちがいく
だから時流に背を向けることになる

そういう生き方を見ている男友達は
どうもイライラしているらしい

でもこれからは自然との共存共生
コレが時流