日本の重要な本がGHQの手によって焼かれたという話を聞いたのは兄からだった
大学の卒論の時テーマを決める相談をしていた時だ
西洋とかアメリカかぶれしている妹を苦々しく思っていたらしく、「ギリシャ神話に見る国の在り方」というテーマにしようと思う、と言ったら
「日本の古事記の方がよっぽど面白い、しかし本当の古事記の本は焼かれてしまっているけど」
「なにそれ」
「日本での良書はみんGHQに焼かれたんだ、日本の文化や歴史を勉強しないで何ふわふわしてんだよ」
「ふわふわとは何よ!ちゃんと勉強してるわよ」
「日本のこと何もわかってないだろう?なんだその恰好ちゃらちゃらして」
日本の歴史、日本の伝統文化、日本人の侍魂など叩き込まれている敗戦時14歳の兄は、い未だアメリカやヨーロッパの文化になじめないし、取り入れられない。チャカチャカ外国かぶれをしている妹を「まったくーー」という思いで眺めている
しかしその時兄が言った「良書が焼かれた」という言葉はずっと残っていた
そのころ民放テレビが誕生したりして、これから放送の時代かなと思い、卒論を急遽「放送芸術」にした
そして放送のことをいろいろ調べていたら「プレスコード」という言葉に出会い、それはGHQが放送に限らず、新聞ラジオ書籍において「告知前の検問」をするというものだった
いやーこれは大変な世界に踏み込んだ、と混乱し、放送の未来に視点を変えてお茶を濁してした卒論になったけど、まあ合格して卒業ができた
その後マスコミの世界に身を置き改めて「焚書」の話を聞く機会が多くなった
それが後年大嘗祭の本を執筆することになり「皇室って何だろう」と天皇陛下のお仕事っていったい何をなさっているのか、と徹底的に調べ始めたら、参考資料が少ない、少ないはずGHQによって500冊もの皇室関係の本は燃やされていた
焚書の研究家である澤龍氏によると焚書の数は7769冊にもおよぶそうだ。その対象になったのが、ユダヤ系の図書300冊 その他世界史、日本史、教科書、古事記、万葉集その他の論文があるという
しかし面白いことに日本人は読書が好きなので、家庭で読んでいた禁書が、昭和の終わりごろにぼつぼつ古本屋に出てきて購入することができるらしい、本好きの民族ならではの抜け穴
焚書は日本人の精神性や思考をずたずたにする戦略が功を称した一例かもしれないな
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