道立道南農業試験場研究部長 赤司 和隆 キノコが作る「妖精の輪」
芝生にキノコや生育の良い濃緑色の芝草がリン ク状に現れ、やがてその芝草の一部が枯れるこ とがあります。これはフェアリ-リンク(妖精の輪) と呼ばれる芝草の病害です。コムラサキシメジな どのキノコが原因です。なぜリンク状に発生するのでしょうか。文献に よれば、この謎を解く鍵は菌糸の伸び方にありました。最初にキノコ の胞子の発芽に伴い菌糸が現れ、枯れ草の葉や根をエサに地中に 浅く、広くはびこります。この時、複数の菌糸が胞子を起点に放射状 にほぼ同じ速さで伸びるため、菌糸の先端にできる菌糸体(菌糸の かたまり)や菌糸体から発生するキノコの分布がリンク状になるので す。さらに菌糸体による枯れ草の分解や、細菌による菌糸体の分解 に伴い、窒素などの養分がリング状に放出されます。その結果、窒 素などを吸収した芝草の葉色が濃くなり、生育も良好となり、緑の輪 ができるそうです。濃緑化については、菌体から分泌される植物ホル モンの影響も指摘されています。また、芝生が枯れるのは、水をはじ く性質をもつ菌糸体による土壌の乾燥が原因だそうです。「妖精の輪」 だけに分からないこともあり、ミステリアです。