北大グル-プ マウスで実験・治療薬開発へ
難病の潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の原因物質を、北大遺伝 子病制御研究所の西村孝司教授(54)らのグル-プが、動物実験 で初めて突き止めた。同疾患は根本的な治療法がなく、患者は全 国に約10万人と言われており、西村教授らは実験成果を基に、根 治治療薬の開発を急ぐ考えだ。腸などの消化管が炎症を起こす炎 症性腸疾患は、これまでの研究で体の免疫バランスを制御するリン パ球が引き起こすと考えられている。しかし、詳しい発症の仕組み は分かっていなかった。リンパ球はストレスが増したり、さまざまな 病気にかかると一時的に減少するが、減少分を取り戻すため再び 増殖する性質を持つ。西村教授らは、このリンパ球の増殖の仕方が、 体の部位で異なることに注目し、マウスを使って実験。マウスの大 腸内で、「CD8T細胞」と呼ばれる特定のリンパ球が異常増殖し、 炎症を引き起こす「インタ-ロイキン17」という物質を生み出すことを 突き止めた。さらに、腸内で炎症が起きると、これとは別の「インタ- ロイキン6」が大量に発生。この「インタ-ロイキン6」の働きを抑える 物質(抗体)をマウスに投与すると、炎症の元となるCD8T細胞の異 常増殖を抑制できることも確認した。西村教授と、共同研究した同大 医学部大学院の但馬正樹さん(27)は「実験では、抗体を使うことで、 大腸炎がかなり改善できることが分かった。人への応用に向けての 研究もすでに始めており、炎症性腸疾患の根本的な治療薬として 期待できる」と話している。
炎症性腸疾患=難治性の慢性腸炎。代表的な病気は、潰瘍性大 腸炎とクロ-ン病で、いずれも厚生労働省指定の特定疾患(難病)。 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に、クロ-ン病は口から肛門にいたる、 あらゆる消化管に炎症を起こす。下痢や腹痛、体重減少といった症 状が特徴で、男女とも10代から20代にかけての発症が多い。原因 が不明で、治療は薬や食事療法などの対症療法しかない。