原料生産で生息地破壊 多様性条約事務局 国際基準づくりを提案へ
二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないとして各 国で急速に進むバイオ燃料の開発が希少な生 物種の生息地を破壊、絶滅を招き、世界の生物 多様性減少の一因になっているとの報告書を、生物多様性条約の事 務局(カナダ・モントリオ-ル)が2日までにまとめた。 報告書は「バイオ燃料生産の拡大政策を進める化学的な根拠はな い」と現状を批判。19日からドイツのボンで開く条約の締結国際会 議で、環境破壊につながらないバイオ燃料であることを認証する制 度や国際基準作づくりに向けた作業を進めるとの決議を採択するよ うに提案している。報告書によると、原料作物の栽培方法によっては 土壌中のCO2が大気中へ放出される量が増えるため、バイオ燃料 の利用は温暖化防止に貢献するどころか、温暖化を加速させる恐れ もある。報告書は、トウモロコシやサトウキビ、アブラヤシなど現在の バイオ燃料の原料作物は天然の林や湿地、草地などを切り開いて生 産され、生物の生息地を破壊して危険性があると指摘。東南アジア など多くの国で、既に森林破壊などを招いているとした。これらの作 物を育てるために大量の水資源が必要で、淡水の生物の生息状況 を悪化させるとの懸念も表明した。バイオ燃料作物の栽培は土壌の 劣化を招きやすく、自生地ではない地域にまで栽培が広がると、在 来種に影響を与え生物多様性の消失を招く原因になると警告してい る。
一方、バイオ燃料の縮小は、化石燃料(石油)の市場価格の更なる 高騰を招き、市場経済に与える影響は計り知れなく、現実的ではな いとの話もある。より良い解決策を早急に願うところです。