慶大など 臨床応用へ前進
ヒトの血液細胞から万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作製することに、慶応大とハ-バ-ド大、ホワイトヘッド生物医学研究所の日米3チ-ムがそれぞれ成功した。慶応大の福田恵一教授らが1日付の米科学誌セル・ステム・セル電子版に発表した。身体の多様な細胞に変えることができ、難病の再生医療や新薬開発への応用が期待されるiPS細胞はこれまで、皮膚の表皮の下にある真皮を採取して作られることが多かった。しかし、健康診断などで採取の機会が多い血液なら、患者の痛みや費用の負担が少なく、安全性も高いと期待される。2007年にヒトiPS細胞を世界で初めて開発した山中伸弥京都大教授も「臨床応用に向け、技術的に大きな前進だ。非常に近い将来、iPS細胞の材料は、皮膚の線維芽細胞から血液に劇的にシフトする可能性がある」と評価するコメントを同誌に寄せた。3チ-ムはいずれも、血液に含まれるT細胞(リンパ球の一種)などに山中教授らが発見した4種類の遺伝子をウイルスを使って導入し、iPS細胞を作った。