厚労省が指針最終案
さまざまな細胞になることができる「万能細胞」のiPS細胞や胚性幹細胞(ES細胞)を人間の治療に使う臨床研究をする際の手続きなどを盛り込んだ指針最終案を厚生労働省の専門委員会がろ9月30日、まとめた。上部部会への報告を経て、指針は8月に告示される見通し。当初案は、iPS細胞は提供した本人への使用に限定していたが、他人の細胞をもとに作ったiPS細胞の利用を求める意見を受け、最終案ではそうした細胞の使用も認めた。またES細胞は当面、人間の胚の利用に関する基準ができるまでは使えない。厚労省は今後作業部会を設置し、治療目的に胚を使う際の倫理的課題などを検討する。最終案では、治療は病気やけがで失われた臓器や組織の再生が目的で、臨床研究には、医療機関の倫理審査委員会と国による審査のダブルチェックを求めた。iPS細胞の使用について、委員や国民からの意見募集で「患者本人の細胞から作ったiPS細胞を使うには数ヵ月かかり、治療に間に合わないケ-スがある」「遺伝的な疾患の場合などは、本人のiPS細胞を使うと病気の再発の原因にもなる」などの意見が寄せられ、最終案て゛は他人由来のiPS細胞使用に道を開いた。