岡山大グル-プ 女王フェロモンの成分特定 駆除薬開発に可能性
シロアリの女王が分泌し、ほかの雌による産卵を妨げている「女王フェロモン」の成分が、2種類の果物のにおいであることを突き止めたと、松浦健二岡山大准教授(社会生物学)らのグル-プが米科学アカデミ紀要に発表した。シロアリは、木造家屋などを食い荒らす嫌われ者となっている。グル-プは、このフェロモンの人工合成にも成功しており、効果的な駆除薬開発につながる可能性があるという。グル-プは、日本で最も一般的なヤマトシロアリの女王200匹を容器に入れ、回収したガスを分析。その結果、フェロモンの成分は、リンゴやバナナの香りに含まれる「プチルチレ-ト」と、ブドウなどに含まれる「2-メチルブタノ-ル」の2種類の揮発性化学物質の混合物だと分かった。次に、このフェロモンを人工的に合成して、働きアリ100匹を集めた空間に漂わせると、女王化するアリは1匹程度で、フェロモンがない場合の5匹程度に比べて明らかに女王化が抑制された。松浦さんは、合成フェロモンと殺虫剤をくみ併せることで、群れ全体を効率的に壊滅させる駆除薬を開発したいとしている。