旭医大講 師 膵臓がん治療に活用期待
旭川医大の水上裕輔講師(41)=内科学講座=は13日、東京都内で記者会見し、がん細胞周辺の異常な血管を修復・再生する新技術を開発したと発表した。これまでの医療技術では難しかった膵臓がん治療などへの活用が期待されるという。水上講師によると、膵臓がんなどでは、がん細胞周辺にできる血管は酸素や血液を運ぶ働きが十分ではない。このため抗がん剤ががん細胞に届かず、転移しやすいなど、悪性度が高い。がん細胞周辺に次々とできる異常血管の発生を阻害する治療法もあるが、血流の少ない膵臓がんには効かなかった。水上講師は、健康なマウスの骨髄から血管を安定化させる細胞を取り出し、膵臓がんを発症したマウスに移植する方法で、血管の正常化を促進。がん細胞内の血流が良くなり、酸素が十分に行き渡った結果、抗がん剤の効き目も明らかに上がったという。今後がん患者らへの臨床応用を目指し、研究を重ねる。水上講師は新エネルギ-・産業技術総合開発機構(NEDO)の2007年度産業技術研究助成事業に選ばれ、研究を進めていた。「今後はがん患者本人などから、安全で治療効果の高い細胞を取り出す方法を確立できるかどうかが課題」と話している。成果は、米国癌学会が発行する13日付けの学術雑誌(オンライン版)にも掲載された。