全身の血管網の総延長は、赤血球がようやく通れるほどの細い毛細血管まで入れると、およそ10万㌔㍍になるといいます。10万㌔㍍とは、地球を2周半する距離ですから、大変な長さです。これだけの長さになると、流れる血液の量もびっくりするほど多いような気がします。ところが血液の総量は、大人でおよそ5ないし6㍑、10歳の子どもでは半分の3㍑くらい。予想外に少ない、と思いませんか。大人の心臓が、1分間に全身に送り出す血液量の方も、5ないし6㍑ですから、血液量と拍出量はほぼ同じということになります。しかし、もし血液の量がもっと多かったら、人間の体重ははるかに重くなり、その結果、動きが鈍くなることでしょう。ちなみにほかの動物の血液の量を挙げておきます。
- ゾウ-230㍑、ウマ-45㍑、ネコ-0・1㍑、 カイコ(血液というより体液)-5滴
血液の最大の役割のひとつは、全身の細胞に酸素を送り届けることです。この酸素は、赤血球の中に含まれる「ヘモグロビン」というタンパク質が、肺から取り込んで効率よく運びます。実はこのヘモグロビンがあるからこそ、血液の量は少なくてすむのです。ヘモグロビンがなかったら、血液の量は20倍も必要といいます。もし血液が20倍になつたら、それだけで100㌔㌘を超える重さになり、歩くのすら大仕事、まして、走るなど思いもよらないことになってしまいます。
- 人類の心臓もまた長い進化の結晶です。胎児のうちに、ホヤのような原索動物の心臓から、魚類の心臓、両生類の心臓、は虫類の心臓を経て完成します。(体内での成長工程)
- しかし、胎児の間、血液は肺を通らずに循環しています。そして、誕生の瞬間から血液が肺を通る肺循環がはじまります。