岐阜大学長ら実験 大腸、肝臓、ほへうこう、胃「多臓器で予防有望」
玄米、米ぬかをこうじ菌で発酵さけた食品(FBRA)か゛肺がん予防の効果を持つ可能性があることが、岐阜大の森秀樹学長や久野寿也准教授による研究で明らかになった。2000年以降に行った一連動物実験で大腸、肝臓、食道、ぼうこう、胃の発がん抑制作用があることを示す結果も得ており、久野潤教授は「FBRAが複数の臓器のがん予防に有望といえる」と話している。
実験は、札幌の健康食品販売会社「玄米酵素」(岩崎輝明社長)の委託で08年に行った。同社は、FBRAに大豆などを加えた食品を「ハイ・ゲンキ」の商品名で販売しており、臨床的な裏付けのためこうした実験を重ねている。森学長や久野潤教授は、肺腫瘍に対するFBRAの影響を調べるため、複数の雌のマウスを使って実験を行った。肺腫瘍を誘発するタバコ由来の発がん物質を投与したうえで、あるマウス群には、がん化が始まる前後に10%の濃度のFRBAを与えた。実験開始15週後に測定すると、1匹当たりの平均腫瘍数は1・48~4・52個、腫瘍サイズは0・34~0・98㍉だった。これに対し、FRBAを投与しなかったマウス群の平均腫瘍数は2・23~5・93個で、腫瘍サイズは0・44~1・10㍉だった。投与により腫瘍数や大きさを抑制している結果が得られたことから、「FRBAを摂取することは肺がんの予防に有効である可能性が示唆された」と結論付けた。久野潤教授は「FEBAが消化管といつた一連の臓器だけでなく、肺、ぼうこうを含めた複数の臓器に対し発がん抑制効果を示していることから、ほかのがんにも有望である可能性があり、研究を重ねたい」としている。財団法人札幌がんセンタ-の小林博理事長(北大名誉教授)は「特定の物質が、肺を含めて複数のがんに抑制効果があるという実験結果が得られるのは非常に珍しい」と話している。