子どもの頃、PARCOのコマーシャルを視ては「意味が分からない」という思いを抱いていた。 けれども、その意味の分からなさも含め、その魅力に惹かれていた。
年末の忙しい中、半日休暇をもらい東京都現代美術館を訪れた。
実を言うと、間もなく閉館となる原美術館に行こうと思っていたけど、予約が必要な上に、すでにその予約も取れない状況になっていた。
そんな中、ふとこちらで開催されている展示会を知り、やはりこちらも予約が必要とのことで日時指定のチケットを確保した。
「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」
この、強烈なインパクトを持ったタイトルに誘われたと言っていい。
石岡瑛子さんについて、僕はそのお名前を目にし聞いたことがあるくらいだったけれども、資生堂やPARCO、角川書店など、広告を通じてアートやカルチャーを体現していた企業で、まさにその時代を支えていた方だと知り、興味が膨らんだ。
展示会は 、
1 Timeless:時代をデザインする
2 Fearless:出会いをデザインする
3 Borderless:未知をデザインする
と、彼女の活躍を3つの時期・ジャンルに分けて構成している。
男性と伍して仕事をしたいという強い意志を示して資生堂に入社し、同社の広告制作に携わる中で、時代を切り拓く様々な作品を送り出した。そして、その作品が次の出会いに、そして未知のジャンルへの挑戦に繋がっていくのを、余すところなく紹介している。
僕の母より1つ下ということで、当時の女性が置かれた状況をはっきりとではないけど想像できる。
「人脈を広げる」という言葉があるけど、彼女が得た出会いはその言葉とは対極のものだと思う。 人脈を広げるためには、時に相手に対し妥協も必要な時がある。僕も時にその場に流されてしまうけど、強い思いを持っているものに対してそれはできないし、したくない。
彼女が作品の校正戻しに書き込んだ様々な指示を見て、ディテールに拘る姿勢と、それが彼女の作品を今も輝かせているのだと知った。そして、その輝く作品がまた次のオファーに繋がっていったのだと。
彼女がディレクションされたマイルス・デイヴィスのアルバムジャケットは、その校正戻しと実際のジャケットの双方の展示を見比べて、彼女の拘りを、そして「神は細部に宿る」という感覚を味わってほしい。
展示を観た翌日、ふと、意欲的に活躍された彼女が自分を奮い立たせる姿を想像した。 そんなことがあったとしても、気の置けない人にしか、いや、もしかしたら誰にも見せなかったのかもしれないけど。
なぜそんなことを想像したのかも分からないし、実際にそうだったかどうかどちらでもいい。ただ、彼女の作品を観て自分がそう感じたことが大切なのだと。
今回、PARCOのCMに込められた思いに触れ、子どもの頃に感じた魅力について腹に落ちた感じがした。まあ、それが正しいとすると大人びた子どもだったということかな。
図録は来月に発売されるとのことで、この時に感じた思いを後日改めて噛み締めたい。
そして、この記事を書きながらこちらのページを見つけた。
石岡さんの著書に携わられた筆者の方の想いに眼を潤ませた。
また、こちらの記事では一部の展示を写真で紹介されている。
「忙しい」を、そして「年齢」を言い訳にせず、これからも様々な物、事、そして人に対し意欲的に向き合っていきたい。
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