佐藤 多佳子著
「しゃべれどもしゃべれども」を読みました。

東京・下町。うだつの上がらない二つ目の落語家、今昔亭三つ葉は、ひょんなことから落語教室を開くことになる。
生徒は、
美人だが無愛想で常に戦闘態勢のような五月、
どもりで自信を失っているの従弟でテニスコーチの良、
口は達者だが関西弁のためクラスになじめない少年・村林、
そして、不器用な正義感のため当たり障りのない解説しかできない野球解説者の湯河原。
「話すこと」に悩みを持つ彼らの面倒を見ているうちに、三つ葉自身も「思うように言葉が出てこない」ということを経験する。
そんな中4人は言い争ってばかりだったが、少しずつ上達していく。
ある時、村林はいじめっ子と野球対決をして負けてしまう。
悔しがる村林に、いじめっ子を落語で笑わせてやれ、と三つ葉は提案するが・・・。
笑ってもらえない噺家、、鼻つまみ者の元野球選手、と登場人物たちははっきり言って情けない、かっこ悪い人間ぞろい。
好きだと上手く伝えられない、言葉が理由で苛められる、けれどもけっして泣いてなんか見せない。
意地っ張りで、少し哀しくて、けれどもけして負けないで欲しい人たちの物語。
読んでるとなんだか元気をもらえる、すがすがしさが残る
そんな小説です。
2007年映画化 出演:国分太一、香里奈、伊東四朗、八千草薫