浅田 次郎 著
「輪違屋糸里」(わちがいやいとさと)を読みました。
文久3年9月18日深夜、新選組筆頭局長芹沢鴨が屯所の壬生八木家で試衛館派に襲撃された。
芹沢と副長助勤平山五郎は殺され、芹沢と同衾していた愛人のお梅も惨殺される。
副長助勤の平間重助は逃亡。
平山、平間と同衾していた芸妓の吉栄、糸里は難を逃れた。
『壬生義士伝』に続く浅田次郎の新選組物時代小説。
『壬生義士伝』では盛岡藩出身の新選組隊士吉村貫一郎を主人公に新選組の最盛期から没落までを描き、本当の武士の生き様に泣かせて貰いました。
本作は京都島原の天神糸里を主人公に、平山の恋人の吉栄、芹沢の愛人のお梅、郷士の女房おまさとお勝の五人の女たちの視点で、新選組初期に起こった芹沢鴨暗殺事件を描いています。
暗殺する側(土方歳三、沖田総司、永倉新八など)から見た「芹沢の暗殺」も語られ臨場感が増します。
それぞれの宿命と時代に翻弄されながら、おのれを失わない男たちと女たち。
その姿は凛として、もの悲しく、胸に迫る。