伊岡瞬/いつか、虹の向こうへ

伊岡瞬　著　「いつか、虹の向こうへ」を読みました。




尾木遼平、46歳、元刑事。

職も家族も失った彼に残されたのは、3人の居候たちとの奇妙な同居生活だけだった。

家出中の少女が彼の家に転がり込んできたことがきっかけで、ある殺人事件に巻き込まれてしまう…。


心に傷を持つ主人公が繰り広げる正統派のハードボイルド作品。

誤って人を殺めた過去を持つ男。

不器用で人との接し方も分からずに、妻や職も失ってしまった。

守るべきものを全て失って、生きる意味さえ見出せないでいる毎日。

そんな彼が、ヤクザに脅され、渋々犯人探しをする破目に・・・。

やがて、血の繋がりのない3人の居候を守るために立ち上がる。

登場人物が少なく、どのキャラクタもそれなりに事件に関ってゆく。

主人公だけでなく、他の登場人物の心の中も丁寧に語られます。

そして「虹の種」の物語の、やさしく悲しいストーリー。

きっと、いつか主人公がささやかな幸せを手に入れると信じたくなるエンディング。 

ハードボイルド作品が苦手な読者にもオススメです。

第25回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞W受賞作。