真山 仁 著 「マグマ」を読みました。
外資系投資ファンド会社勤務の野上妙子が休暇明けに出社すると、所属部署がなくなっていた。
ただ1人クビを免れた妙子は、支店長から「日本地熱開発」の再生を指示される。
なぜ私だけが?
その上、原発の陰で見捨てられ続けてきた地熱発電所をなぜ今になって―?
政治家、研究者、様々な思惑が錯綜する中、妙子は奔走する。
世界のエネルギー情勢が急激に変化する今、地熱は救世主となれるか!?
日本国民は今回の震災で、CO2をほとんど排出しないことから、 「地球環境に優しいエネルギー」として建設が推進されてきた原発の欺瞞とその恐ろしさをいやと云う程思い知らされています。
また、菅首相が突然の脱原発の方針を発表した事に対しては、同じ民主党内部でも反発の声が上がるなど、政局はますます混迷するばかりです。
では、原発に変わるエネルギーは何があるのか?
「地球環境に優しいエネルギー」ということであれば、太陽光や風力を思い浮かべる方が多いと思いますが、この小説では「地熱発電」をテーマにしています。
火山国日本、その地下に眠っている自然のエネルギーを利用しない手はない。
読み手は主人公の野上妙子と共に「地熱発電」に関する多くの知識を学ぶ事になります。
そして、その可能性については非常に興味をそそられました。
エネルギー問題にまつわる政治家、電力会社等業界の思惑を絡め、わが国が現実に直面している問題や今後考えるべき課題が浮き彫り にされます。
さらには日本国内での外資系投資ファンドによる 事業再生とはどういうもので、どういう世界なのかと云う一端を知ることもできます。
物語としては、様々な利害が絡んだ登場人物をめぐる人間模様と展開が実におもしろく最後まで一気読みできました。
いまこの時期だからこそ読む価値がある一冊だと思います。
オススメです。