ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

エリザベス ゴールデンエイジ

2008-09-30 | 観ること。



私がまだ高校生の頃だったでしょうか。
テレビで「1000日のアン」という洋画を観たことがあります。

内容はほとんど忘れてしまいましたが、
イングランドの王妃という女性のトップに登りつめながら、
ロンドン塔に幽閉され処刑されてしまった女性、
アン・ブーリンを描いた映画でした。
そのとき、その女性があのエリザベス一世のお母さんだった、
ということを知って驚いたものです。
(その後、同じタイトルの本を読んだ気がするのですが、
 検索しても見当たりませんでした)

歴史の渦に否応なく巻き込まれる女性の悲劇というものに
興味を持ったきっかけは、日本では戦国時代に生きた女性、
海外ではこのアン・ブーリンだったかもしれません。

ということで、本でも映画でも歴史ものは大好き。
この「エリザベス ゴールデンエイジ」も公開されたときから
観たいと思っていた映画のひとつです。
(ほんとは映画館の大画面で観たかった~)

エリザベスとは、16世紀のイングランドの女王エリザベス一世のことです。
10年ほど前にエリザベスが女王になるまでを描いた
「エリザベス」があり、これはその続編になります。

内外ともにまだ不安定だったエリザベス女王の治世。
それが無敵といわれたスペイン艦隊を破り、
イングランドが黄金時代を築きあげるまでを
迫力のある美しい映像で丹念に描いています。

イギリスの小説を読むと、児童小説やファンタジーでも
歴史が絡んでくることが少なくありません。
日本人である私にとって、これがまたわかりづらい。
本を読んでいるときには断片的にわかったつもりでいても、
全体的なつながりや流れとなると把握できません。
(同じ名前がたくさん出てくるし。
 スコットランドのメアリー・スチュアートと
 ブラッディマリーで有名なメアリーが ずっと同一人物だと思ってた私・・・


で、この映画。
世界史の教科書に出てくる史実が(あたりまえだけど)
あちこちに出てきます。
イギリスにおけるカトリックとプロテスタントの対立や、
裏で糸をひくスペインの陰謀。
エリザベスとメアリー・スチュアートの王位継承をめぐる確執。
そして新大陸への進出。

観ているうちに、
あ~、そうなんや。だからこうなるんかー
と、歴史のややこしかったところがすっきりとつながったんですね(笑)
歴史って、いろんなことが絡み合って必然的に大きな事件に発展していくんだ、
ということがよくわかりました。

よく教科書に載っているでしょ。
「1588年 イギリスがスペインの無敵艦隊を破る」って。
それって、どういうことなん?って、思いませんでした?

でも、映像で観るとすごくよくわかるんです。
スペインがイングランドを狙ってて、
だんだんスペインとの関係が悪化していく。
      ↓
敬虔なカトリック教徒だったメアリーが
処刑されたことで対立が深まり戦いが始まる。
      ↓
そしてとうとう圧倒的な数のスペイン艦隊が迫り、
イングランドは絶対的な危機を迎える。

そのときのエリザベスの毅然とした態度。
勝てる見込みの少ない戦いなのに、
自ら甲冑に身を包み兵士たちの前で鼓舞するんです。
彼女の国を思う熱い心に胸を打たれます。

しかし、やはりイングランドは不利。
次々と船はやられます。
しかし、ここで風向きが変わるんですね~
イングランドが優位になり、とうとう無敵艦隊といわれたスペインを破るのです。
静かながらも迫力に満ちたシーンでした。
そしてそれを崖の上からひとり眺めるエリザベス。

もちろん脚色はあるでしょうが、歴史の一場面を
映像として観ることができるというのは、なんと贅沢なことでしょう。


エリザベスを演じたケイト・ブランシェットが
とにかく素晴らしかったです。
女王としての圧倒的な存在感、威厳、強さを見事に演じています。
そして一方で、女王の孤独や苦悩や葛藤も、
またひとりの女性としての哀しみも、ひしひしと伝わってきました。

常に暗殺の危機にさらされていたエリザベスですが、
教会で暗殺者に銃口を向けられたときの彼女が印象的でした。
まるで聖母マリアのように、その暗殺者に向かって両手を広げたエリザベス。
その後一発の銃声が響きます。
私はこのDVDを2回見ましたが、2回とも
この銃声で飛び上がってしまいました(笑)
それくらい緊張感のあるシーンなんですね。

このDVDを観たあと、もう一度「エリザベス」の方も見直しました。
普通の(王位継承者だから普通ではありませんが)
ひとりの恋する乙女が、だんだん女王の顔に変わっていく様子が
なんともいえません。

国のため、民のため、自分の恋すら思い通りにいかず、
誰とも結婚せずヴァージンクイーンとなったエリザベス。
そのせつないほど孤独な思いは「エリザベス」、
「エリザベス ゴールデンエイジ」ともに描かれていました。


二本のDVDを観たあと、図書館でエリザベス関連の本を借りてきました。
映画を観たあと読むと、なるほど~とよくわかります。
高校であれほど眠かった世界史の時間。
こういうDVDを観ていたら、もっと興味がわいていただろうになー

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時をつなぐ

2008-07-22 | 観ること。
毎日暑い日が続きます。
きのうは最高気温37.5度、とうとう全国一になってしまいました~


夏休みに入ったものの、次女は部活。
長女はこの暑いのにもうすぐ大学の前期試験。
予定もばらばらで、この夏は家族旅行の予定もありません。
子どもが大きくなると、こんなものですねぇ・・・。


ということで、読書とDVDで過ごす日々です。
最近DVDで「プライドと偏見」、「彼女を見ればわかること」など
ひとりで女性向けの映画を観ることが多かったのですが、
先日、久しぶりに主人と一緒に観たのがこれ↓「デジャブ」です。





デンゼル・ワシントン演じる捜査官が、500人以上の犠牲者を出した
フェリー爆破事件の犯人を捜すというストーリーなのですが、
何も知らずに観た私は、へ~、こういう展開になるのか、と
ちょっと意外でびっくりしました。
これはありえないよね~、とつっこみつつ、
映像もすごいし、ぐいぐいと引き込まれて観てしまいました。
気になるところはあったものの、おもしろかったです~。

ネタバレになるので詳しくは書けないのですが、
(これ、何も知らない方がおもしろいと思います)
「デジャブ」というタイトルでもわかるとおり、
過去と現在をつなぐ、ということがキーポイントになっています。



過去と現在をつなぐ、といえばこれもそうですね。
週末テレビでやってた「時をかける少女」。





子どもたちがおもしろい~!と絶賛だったので、観てみました。
前向きで、元気溌剌な主人公はイマドキの女子高生、って感じですね。
とにかく絵がすごくうまく、登場人物の顔も
ジブリみたいに子どもっぽくなくて、よかったです(笑)

私の中で「時をかける少女」といえば、アニメでも、原田知世の映画でもなく、
NHKのドラマ「タイムトラベラー」なんですよ(古っ!)。
中学生のときだったか、夢中になって観ました。
理科室、ラベンダーの香り、未来から来た少年・・・。
その少年ケン・ソゴルにときめいたものでした

実は、こういうタイムスリップものに興味があったのは、
かなり小さいころからなんですね。
姉たちと夜遅くに観たNHKの海外ドラマ「タイムトンネル」。
研究者たちが時間移動装置を作るのですが、まだ不完全なため帰って来れず、
いろんな時代に転送され、歴史的な場面に遭遇する、という話でした。

外国の歴史なんて何も知らないはずなのに、
マリー・アントワネットの逃亡シーンや、火山の噴火など今でも覚えています。

しかし、「デジャブ」にしても、「時をかける少女」にしても、
どうしても気になるのが、
過去に戻って何らかの操作をしたら、今とは違う「今」ができてしまう、
ということです。
それじゃあ、はじめの「今」はどうなってしまうの?
「今」と平行して、いろんな「今」があるの?
そういうこと考え出すと、この暑いのに、眠れなくなりますよね(笑)


児童小説の中にも、タイムスリップするものがあります。



         『時の旅人』
        アリソン・アトリー



       『トムは真夜中の庭で』
        フィリパ・ピアス


どちらもイギリスが舞台で、古いお屋敷の描写などがあり、
児童書とはいえ日本人の子どもにはわかりにくいだろうなあ、と思います。
特に『時の旅人』は歴史的な背景もあり、
小学生くらいでは難しいかもしれません。
イギリスの農場の生活や自然の美しさやを感じられるのは、
大人になってからかも・・・。


もしももしも、こんなふうに、違う時代、あるいは自分の人生で
時を遡ることができるとしたら、
いったいどの時代に、どの自分に戻りたいと思うでしょう。

・・・人生、もう一度やり直したいかも・・・


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミス・ポター

2008-06-17 | 観ること。



週末は、主人も次女もいなくて気ままなひとり暮らしでした。
はじめのうちこそ、私だけ留守番~と不満に思っていたけれど、
観たいDVDを借り、読みたい本を読み、
それに飽きたら買い物に出かけたり、図書館へ行ったり。
なかなか充実した休日でした。

我が家では子どもが小さいころから、
ビデオやDVDは夫婦、あるいは家族いっしょに観る、
という習慣がありました。
(今晩、○時から観るよー、って感じで)
だから、観たいなあと思ってても後回しになったり、
忙しいと観れなかったりしたのですが、
ひとりだと観たいときに、誰に気兼ねすることなく観れるんです。
今までこういうことがなかったので、すごくウレシイ。


で、今回選んだのはこれ、「ミス・ポター」。
ピーターラビットの作者であるビアトリクス・ポターの
半生を描いた映画です。

私は、ピーターラビットのファンというわけではないのですが、
作者であるポターには興味がありました。

上流階級のお嬢さんなのに結婚もせず絵を描きつづけ、
出した絵本が大ヒット。
結婚適齢期も気にせず(?)、かなりの年齢になってから結婚。
農地を買い続け、ナショナル・トラストに寄付。
一体どんな女性だったのだろう、って。

それに舞台がずっと行きたいと憧れていたイギリスの湖水地方
あの美しい風景を、大きなスクリーンで観たかったなあ・・・。

映画の始まりがいいんです。
ポターが絵の具をといて筆で色をおくシーン。
まっさらの水彩紙に、絵の具がすぅーっと沁み込んでいくときの
わくわくした気持ちが伝わってきます。
その、絵の具の青がとってもきれい。

絵を描いているときの、幸せそうな彼女が印象的。
しかし、20世紀初頭のイギリスで、
親が選んだ男性と結婚することがあたりまえだった時代に、
自分の意思を貫くことはどんなに大変だったことでしょう。

でも、彼女に肩肘張ったようなところはありません。
とにかく動物が好きで、絵が好きで。
キノコの研究したり、もっと真面目で堅物なイメージがありましたが、
映画では人のよさそうな笑顔の、お茶目で
ふんわりとした感じの女性として描かれていました。

ところどころ絵本のキャラクターが動き出し、
それが彼女の心をうまく描いているなあ、と思いました。
こういうシーン、大好きです。

ずっと独身だったポターの恋が描かれていますが、
彼女に好意を持つ男性たちが、みな、
彼女と同じ感性を持ってるんですね。

ポターの描く動物たちを単なる挿絵と見ていない。
彼女や彼女の絵を理解しているんです。
羨ましいなあ。

その愛する人を失ったポターの悲しみを癒してくれたのは、
湖水地方の美しい自然だったのでしょうか。
その自然が今もそのまま残ってるなんて、羨ましいことです。

その自然の保護にも貢献したポター。
ひとりの女性が、後世にこんなにもたくさんの大切なもの、
美しいものを残してくれたなんて、本当にすごいことですね。

ピーターラビットや、『ツバメ号とアマゾン号』シリーズの
舞台となった湖水地方
絶対行くぞー!っと、密かに思い続けているのですが、はたして・・・。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「かもめ食堂」的暮らし方

2008-06-08 | 観ること。




今さらですが、きのう、ようやく「かもめ食堂」のDVDを観ました。
ずーっと観たいと気になっていた映画です。

ひとことで感想を言うなら、
観ててなんて心地よい映画なのだろう、ということでしょうか。

タイトルになっているかもめ食堂も、
登場人物も、
音楽も、
画面も、
ごちゃごちゃしたものがなくて、とてもシンプル。
だから、すーっと心に入ってきます。

日本ではいろいろあったのであろう女性3人の、
(そのことは詳しく語られません)
かもめ食堂を手伝う日常だけがゆったり描かれます。

使い心地のよさそうなキッチン
磨きこまれたお鍋やグラス
色鮮やかなプリント柄の衣服
シンプルでセンスのいい家具や食器
美味しそうな香りが漂ってきそうなコーヒーとシナモンロール
そして、そこに集まってきた人たち
そのどれもが魅力的です。

主人公のきりりとした生き方、暮らし方も素敵。
たまたま出会った女性たちが、
最後まで敬語でしゃべっていたのも好感を持ちました。
べたべたせず、それぞれきちんと「ひとり」である彼女たち。
日本でのしがらみから開放されて、
とても自由で潔く、爽やかな印象を受けました。


シンプルで、きりりとして、ゆったりとして。
そんな「かもめ食堂」的暮らし方に憧れます。

これを機会に、この、ごちゃごちゃで、だる~んとして、
あくせくした生活をなんとかしなければ!

まずはキッチンを居心地よくするために、今から掃除をはじめましょう。
え~と、換気扇の掃除して、ガス台の汚れも落として、
棚の中のいらないもの整理して・・・。
カーテンも替えたいし、新しいコーヒーカップも欲しいな。

えっ、もうこんな時間!?
・・・なんだか掃除だけで休日が終わってしまいそう・・・



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライラの冒険 黄金の羅針盤

2008-04-25 | 観ること。
今日、「ライラの冒険 黄金の羅針盤」をようやく観てきました。

邦画ばかり上映していた地元の映画館で、
めずらしく洋画をやってると思ったら、なんと「黄金の羅針盤」!

今日が最終日だったので、「観てきたら」という主人の言葉に甘えて、
午後早々に仕事を早仕舞いして行ってきました。


原作はフィリップ・プルマンの『黄金の羅針盤』です。
当時「ハリポタよりもおもしろい!」と書評に紹介されていました。





ハリポタが驚異的な売れ行きを見せて以来、
さまざまなファンタジーが本屋に山積みされていましたが、
ほとんどが小手先を変えただけの、どこかで読んだようなストーリー。
ちょっと食傷気味のころにこの物語に出会いました。

はじめの1ページから、「えっ、何!?この世界・・・
慣れるのに(とういかイメージするのに)時間がかかりました。
そう、「この世界」と似ていながら、まったく「異なる世界」なのです。
とにかく、この作者の想像力に、創り出された世界に圧倒されるばかり。

第2巻『神秘の短剣』、第3巻『琥珀の望遠鏡』と続くのですが、
『琥珀の望遠鏡』ではもう私の想像力では補えなくて、
どんなに視覚化されたものを観たかったことか。
待ちに待った映画化だったわけです。

しかし。
映画化されて読者が満足したファンタジーは、
残念ながらそうたくさんはありません。
期待半分、不安半分。

で、観た感想はというと、
・・・やはり、満足感と不満が半々というところでしょうか。


まず、始まって「あら、吹き替えだったんだ~
この世界固有に存在するダイモン(守護精霊)が日本語しゃべるなんて、
すっごい違和感
ファンタジー=子供向けだと思われてるんでしょうね。
ここでは吹き替え版しかやってないみたい・・・。

映像はすごくよかったんです。
だからその映像に圧倒されてるうちに、
もうここまで話がすすんだの~という感じでした。

原作はけっこう長く、いろんなエピソードが盛り込まれています。
けれど、そのあたりがかなりはしょってあって、
原作で感じた深みとか重みがほとんど感じられませんでした。

作品にはかなり個性的な登場人物(動物?)が出てきますが、
こちらのほうはイメージを損なうことなくよかったです。

主人公ライラ役のダコタ・ブルー・リチャーズは
気が強くて、生意気そうで、賢そうで、ライラにぴったり!





ニコール・キッドマンのコールター夫人も、
美しさと豪華さと怖さを兼ね揃えていて原作のイメージどおり。

サム・エリオットのリー・スコーズビー、
エバ・グリーンの魔女セラフィナ・ペカーラなど、
登場人物のキャラクターはすごくよかったのに、
説明があまりされてなくて残念でした。

原作を読んでない人は、突然魔女なんかが出てきて
びっくりするんじゃないでしょうか(笑)
しかも、その魔女がセクシーで謎めいてて・・・。

びっくりといえばクマでしょうね~
原作でこのイオレク・バーニソンは勇気があって、強くて気高いクマです。
でも、映画でそれが表現できるんだろうか、
それこそいかにも「子供向けファンタジー」風に
なってしまうのではないだろうか、と不安でした。

ここでも吹き替え版だとクマが日本語しゃべるわけですから、
「う、う・・・む」と思わないわけにはいきません。
(たとえ緒方拳の吹き替えでも)
でも、映像的には及第点かな。
表情も感じられたし、迫力もありました。

内容が物足りなく感じられるのは、
これがまだ物語の序章という設定になっているからかもしれません。
映画のラストシーンで、「あれ、こんなところで終わったっけ?」
と思ったのですが、家へ帰って確かめてみたら、
やはり原作では重要な結末が描かれていました。

原作のラストを二作目に持ってきて、
このふたつのパラレルワールドを対比させるつもりなのでしょうか。
複雑な世界を描いているわけだから、
第一作目が説明的になってもしかたないのかな。
映像は見応えたっぷりなので、二作目に期待しましょう。

・・・その前に、原作をもう一度読み直しておかないとね~
もう、すっかり人物名も内容も忘れてましたから・・・

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする