最近、すっかり図書館から足が遠のいています。
今、手もとにあるのはエッセイばかりで、何か物語を読みたいなあ、と思ったときには、本棚から以前読んだ本を引っぱり出してきています。
先日も、ちょっと調べたいことがあって『源氏物語』(円地文子訳)を出してきました。
うろ覚えだったところを確かめたくて途中から読み出したのですが、これがまたおもしろくって、ついつい引き込まれてしまうのです。
若いころには気づかなかったことが、この年になるとわかるようになるもんですねえ。
だてに年をとっているわけではなさそうです
『源氏物語』はまたいつか、はじめから読み直すことにして。
今回読み直したのは『西の魔女が死んだ』です。
『西の魔女が死んだ』
梨木 香歩
10年前、初めて読んだ梨木香歩さんの作品です。
このあと『裏庭』、『りかさん』、『からくりからくさ』、『家守綺譚』と、梨木ワールドにどっぷりはまってしまうわけですが。
10年前というと、まだ児童小説というものを読み始めたころで、その中でもこの作品は特に印象的でした。
当時の私は、児童小説というと大人が子供向けに書いたもの、くらいにしか捉えていませんでした(以前はそういうお話が多かったのでしょう)。
でもこの作品を読んだとき、思春期の少女のどんよりした不安や、わけのわからない嫌悪感、ぴんととんがった感受性などが描かれていることに驚き、とても新鮮に感じたのでした。
確かに、私もこんな感情をもてあましていたことがあった。
大人から受ける痛みとか、抑えきれなくなった怒りを、自分でもどうしていいのかわからなかったっけ・・・。
そんなことを思い出しました。
主人公のまいは、中学校でいじめにあい、学校を休んでおばちゃんのところに預けられます。
そのおばあちゃんというのは、イギリス人で日本人のおじいちゃんと結婚したのでした。
おばちゃんは田舎で自然や手仕事に根ざした生活を送っています。
そのおばあちゃんのもとで、まいは魔女の修行を教わりながら暮らします。
そしてまいが家に帰る決心をしたとき、ある出来事がもとで、おばあちゃんとの間にしこりを残したままになってしまうのです・・・。
とにかくイギリス人のおばあちゃんの暮らしぶりがとても素敵で、読みながら思わずこんなおばあちゃんと一緒に暮らしてみたい、と思うほど。
もちろんおばあちゃんもとても素敵な人です。
まいの問いに、いつも真剣に考え、的確な答えを出してくれる。
私自身、どれほどこんな大人に憧れたことでしょう。
(児童小説を読んでいてうれしいのは、こういう大人に出会えることです)
梨木さんの作品はどれも不思議な雰囲気が漂い、それが彼女の作品の魅力でもあります。
それでいて「魔女」とか「魂」などの言葉が、胡散臭いものとしてではなく、きちんと定義されていて「なるほど、そういうものなのか」と納得させられます。
「魔女の修行」なんて聞くと、私なんかわくわくしてしまいますけどね。
「いじめによる登校拒否」や「死」という重いテーマでありながら、暖かく心に沁み入る作品でした。
私の本棚にあるのは文庫本ですが、こちらにはまいのその後を書いた短編も収録されています。
今、手もとにあるのはエッセイばかりで、何か物語を読みたいなあ、と思ったときには、本棚から以前読んだ本を引っぱり出してきています。
先日も、ちょっと調べたいことがあって『源氏物語』(円地文子訳)を出してきました。
うろ覚えだったところを確かめたくて途中から読み出したのですが、これがまたおもしろくって、ついつい引き込まれてしまうのです。
若いころには気づかなかったことが、この年になるとわかるようになるもんですねえ。
だてに年をとっているわけではなさそうです
『源氏物語』はまたいつか、はじめから読み直すことにして。
今回読み直したのは『西の魔女が死んだ』です。
『西の魔女が死んだ』
梨木 香歩
10年前、初めて読んだ梨木香歩さんの作品です。
このあと『裏庭』、『りかさん』、『からくりからくさ』、『家守綺譚』と、梨木ワールドにどっぷりはまってしまうわけですが。
10年前というと、まだ児童小説というものを読み始めたころで、その中でもこの作品は特に印象的でした。
当時の私は、児童小説というと大人が子供向けに書いたもの、くらいにしか捉えていませんでした(以前はそういうお話が多かったのでしょう)。
でもこの作品を読んだとき、思春期の少女のどんよりした不安や、わけのわからない嫌悪感、ぴんととんがった感受性などが描かれていることに驚き、とても新鮮に感じたのでした。
確かに、私もこんな感情をもてあましていたことがあった。
大人から受ける痛みとか、抑えきれなくなった怒りを、自分でもどうしていいのかわからなかったっけ・・・。
そんなことを思い出しました。
主人公のまいは、中学校でいじめにあい、学校を休んでおばちゃんのところに預けられます。
そのおばあちゃんというのは、イギリス人で日本人のおじいちゃんと結婚したのでした。
おばちゃんは田舎で自然や手仕事に根ざした生活を送っています。
そのおばあちゃんのもとで、まいは魔女の修行を教わりながら暮らします。
そしてまいが家に帰る決心をしたとき、ある出来事がもとで、おばあちゃんとの間にしこりを残したままになってしまうのです・・・。
とにかくイギリス人のおばあちゃんの暮らしぶりがとても素敵で、読みながら思わずこんなおばあちゃんと一緒に暮らしてみたい、と思うほど。
もちろんおばあちゃんもとても素敵な人です。
まいの問いに、いつも真剣に考え、的確な答えを出してくれる。
私自身、どれほどこんな大人に憧れたことでしょう。
(児童小説を読んでいてうれしいのは、こういう大人に出会えることです)
梨木さんの作品はどれも不思議な雰囲気が漂い、それが彼女の作品の魅力でもあります。
それでいて「魔女」とか「魂」などの言葉が、胡散臭いものとしてではなく、きちんと定義されていて「なるほど、そういうものなのか」と納得させられます。
「魔女の修行」なんて聞くと、私なんかわくわくしてしまいますけどね。
「いじめによる登校拒否」や「死」という重いテーマでありながら、暖かく心に沁み入る作品でした。
私の本棚にあるのは文庫本ですが、こちらにはまいのその後を書いた短編も収録されています。