雨の中疲れ切って歩いていると、偶然前を歩いている長女を見つけ3人で先斗町へ。
ここは傘をさして歩いていると、すれ違うのもちょっと難儀なほどの狭い路地です。
神戸の義兄が床を予約してくれていたのは、卯柳 先斗町 花。
義姉夫婦も義兄もすでに到着していました。
大雨ではないものの床はやはり無理。
初めてだったのに恨めしい・・・
気を取り直して、まずはみんなとビールで乾杯です。
次は、今の時期におススメと言われた玉之光のみぞれ酒。
ガラスのお猪口についでもらうと、あ~ら不思議。お酒がシャーベット状に!
どんなマジックなのかと尋ねてみたら、冷凍庫で冷やしておいた日本酒は凍らないけど、
何らかの衝撃を与えるとショックでシャーベット状になるのだそうです。へえ~
ヒンヤリ、さっぱりで美味しい。
日本酒を楽しみにしていた長女は、すでにこのお店のお酒をチェックしてきたようで伊根満開をリクエスト。
これは丹後伊根町で女性の杜氏さんがつくっておられる古代米の赤いお酒です。
長女はこのお酒が大好きで、帰省するときは主人があちこち探して買ってくるんですよ~
ロゼワインみたいきれいでしょ。
普段は日本酒を飲まない私も、美味しくて、つい、くいっと杯がすすみます。
お料理も京料理らしい美しい盛り付けで、頃合いを見計らって持ってきてくれます。
ひとつひとつの量は少ないのに、けっこうお腹いっぱいに。
気分もよくなり、疲れも、吹き荒れてた強風もどこへやら(笑)
そうこうしているうちに、義兄が主人と一緒に私もホテルで泊まるよう勧めてくれ、
「いえ、そんな~」ともごもご言ってるうちに、ホテルに電話してツインに変更してくれました。
心配していたほどの大雨ではなく、帰るつもりだったのですが・・・まっ、いいか~
はい、すでにけっこうお酒がまわり、気が大きくなっておりまする
鴨川の床で食事ができなかったのは返す返すも残念ですが、料理もお酒もとても美味しくて
みんな大満足でした。
さて。
そろそろいい時間なったので、お店を出て祇園へ向かいます。
行った先は神戸の義兄の知り合いのお茶屋さんの冨田屋さん。
お茶屋さんというのは、お客さんをもてなす場所です。
お客さんのリクエストに応じて、置屋さんから舞妓さんや芸妓さんを呼んだり、料理を用意するなどして
お座敷をコーディネートするところだそうです。
義兄(義姉のご主人のほう)はいわゆる「お座敷遊び」をしたかったようですが、今回私たちは初めてなので、
冨田屋さんのホームバーに舞妓さんを呼んでもらって、一緒に飲んでおしゃべりすることにしました。
こういうところは、よく言われる「一見さんお断り」。
紹介してもらってお座敷に上がり、それで馴染になったら次は自分でお座敷を頼めるようになるわけですね。
今の時代に綿々とこういうしきたりが続いているというのは、いかにも京都ならでは。
のれんをくぐると、ちょっと緊張します。
普通のお家のような玄関で、中に入ると畳の間にカウンターとテーブル席があります。
私たちだけなのでソファをどんと占領。
「○○さん、お久しぶりですねえ。何飲まはります?」
「ウィスキー、ロックで」
「私も」、「私も」、「私も」、「私も」(←長女も)
「いやあ、みなさんお強いですねえ」
と驚かれる中、私ひとり
「・・・水割りください」
今さらですが、主人の家系も私のほうも酒豪揃い。
あっという間にウィスキー1本が空になりました
しばらく元芸妓のママさんとおしゃべりしてて、やっと待ちに待った舞妓さん登場!
なのに、義兄は緊張したのかほとんどしゃべれず。
で、このときとばかりと舞妓さんを質問攻めにしたのが長女と私(笑)
「年はいくつ?」
「出身は?」
「なんで舞妓さんになろうと思ったん?」
「お稽古厳しい?」
「その頭で寝るの?」
などなど。
そんな他愛のない質問を、嫌がりもせずとても丁寧にきちんと答えてくれます。
びっくりしたのは彼女がまだ17歳だということ。
舞妓さんが若いのは知っていましたが、目の前で彼女たちの所作を見てると、その落ち着きにびっくりします。
しんどいだろうに姿勢も崩さず、にこやかに受け応えをし、しゃべっている間もまわりを気づかい、
若女将さんが入って来られるとささっと「お姉はん、今日はおおきに~」と頭を下げに行く。
娘を持つ母親としては、もう何と言うか、その一生懸命さに胸を打たれてしまうわけですよ。
一番驚いたのは、年頃の女の子なのに携帯もスマホも持っていないということ。
若い娘さんを預かる置屋さんとしては、知らないところでどんな誘いがあるかもわからず
管理ができなくなるからなのでしょうねえ。
こういう世界に若いころ興味のあった私としては、芸妓をされてたママさんの当時のお話も
なかなか興味深かったです。
芸は売っても身は売らぬ、と言われる舞妓さんや芸妓さんの世界。
スマホを持てなくても、お稽古が厳しくても、結婚しなくても、芸で身を立てようと頑張ってる
彼女たちの心意気にすっかり魅了されました。
そのあともうひとり舞妓さんが来られ、夜も更けみんなかなり酔っぱらっていましたが、せっかくなので
その舞妓さんとカラオケへ。
長女だけは翌日仕事なので帰らせました(いやいや、神戸の義兄も主人も翌日は一応仕事なんですけど
)。
そこの狭~いスナックも一見さんお断りのお店。
私は恰幅のいい豪快なママさんとビールを飲みながらおしゃべりしていましたが、義姉夫婦、義兄、
主人を見るとそろそろ危なっかしい。
一番強いであろう義姉の足元が危うくなったのでお開きとなり、義兄と別れ4人でホテルに向かいました。
はい、泊まることになったとはいえ私は翌朝早い電車で帰るつもりでいたので、一応シャワーを浴びて
布団にもぐりこんだのが夜中の2時半ごろ。
主人は部屋に入るなりベッドに倒れこみ、もちろんこのあたりの記憶はすっかり抜け落ちておりました。
: : :
記憶があったにも関わらず、驚いたのは翌朝のこと。
カーテンを開けて窓の外を見て、
・・・ここはどこ
駅前のホテルと聞いていたので、駅前にあるビジネスホテルだろうと思っていたのです。
(夜中にタクシーで来たので位置を確認してませんでした
)
なのに、窓の外は広い空地で、駅前にあるはずの京都タワーが遠くに見える・・・
えー!?
ホテルのパンフを見つけ確認すると、ここは堀川五条を下がったところにあるホテル。
駅までシャトルバスが出ていることもわかり、なんとか無事帰路についたのでした~
それにしても、一泊の予定の旅行が思わぬ展開となりました。
特に今回は美味しいお酒に恵まれ、まあよく飲んだこと!
ビールに始まり、ワイン、日本酒、久しぶりに水割りまで。
自宅で飲むと、どうしても後片付けとか気にしてそれほど飲まないのですが(おまけに家だと飲むと寝てしまう
)、
外で飲むとこんなにも解放感があるのですねえ。
いや~、楽しいお酒でした!
特に今回こんなに自由がきいたのも、義母がショートステイに行ってくれたおかげ。
送り出すまでは本当に大変だったけれど・・・
さて、次はどこへ行けるかな~
早速姉たちと、実家の母と義母のショートステイの日程を合わせて、みんなで出かけたいね~と相談中。
親不孝かもしれないけれど、こうやって息抜きしないと日々がんばれませんものね・・・