最近、本のレビューがすっかりご無沙汰になっていました。
忘れっぽいので、レビューを書かないことには、
なかなか次の本に手が出せないのです
↓この作品も書きかけのままになっていました。
フラニーさんに教えていただいた作品。
長女がどうしても読みたい、と言ってたのに
図書館にはなかったので、京都の本屋で見つけたとき、即、購入。
久々の、本の衝動買いでした(笑)
『歩く』
ルイス・サッカー
以前、同じ作者の『穴』を読みました。
長女が図書館で借りてきて、おもしろいよ、と
薦めてくれたのです。
ルイス・サッカーの作品はおもしろいと聞いていましたが、
なんとなくわたし好みではないかな、と思い込んで
まだ手にしたことはありませんでした。
このときもあまり期待せず読み始めたのですが・・・。
無実の罪で矯正キャンプに送られた主人公スタンリー。
まわりは、ひとくせもふたくせもありそうな少年ばかり。
焼けつくような大地で、させられることといえば穴を掘ること。
矯正のため、とは言うものの、実は謎がありそうです。
代々ツイてない家系のスタンリーが、
その呪われた運命(?)を見事はねかえし、
合間に語られる昔のエピソードが、
最後に見事にひとつにつながります。
読み終わって、ほんとに「おもしろかった~!」
思わず拍手したくなるような結末なんですよ。
で、この『歩く』。
スタンリーが送られた矯正キャンプで一緒だった、
アームピット<脇の下>が主人公です。
キャンプを出て、真面目に働くアームピット。
そこへ同じキャンプにいたX.レイがお金儲けの話を持ってきます。
せっかくきちんと高校を出て、
まっとうに生きようとしてるのに、
X.レイの甘い言葉にだまされたらあかんよ~!
オバサンとしては、つい忠告のひとつもしたくなります(笑)
しかし。
案の定、警察沙汰に巻き込まれ、
ずるずると悪運に引き寄せられていくアームピット。
一体どうなることやら、と読者は心配させられますが・・・。
タフで優しいアームピット。
脳性麻痺の少女ジニーと、ごく普通の友達関係を
結んでいるところがなんとも素敵です。
そして、もうひとりの魅力的な登場人物、
人気スターのカイラとの恋。
少年少女時代は、回り道したり、遠回りしたり、
かと思えばあわててかけ出して転んだり。
そんな少年や少女のナイーブな内面が、
とてもよく描かれています。
いかにもアメリカ的、と思わないでもないですが、
ちょっと反抗的なところは万国共通ですね。
アームピットとカイラもさまざまな出来事を経て、
今、別々の、小さな一歩を踏み出そうとしています。
ちょっと胸がきゅん
とするラストもいいですね。
『穴』に比べると、少しインパクトが弱いかなあ、
とも思いましたが、長女いわく、
「それは『穴』のあと『道』を読んでないから」
だそうです。
今度、『道』も読まねば