万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国のネット規制緩和の吉凶

2008年08月03日 16時10分29秒 | アジア
中国、一般家庭のネット規制緩和 「五輪限定」難しく?(朝日新聞) - goo ニュース
 歴史の展開を予測することは人間の能力を超えた業であり、歴史は、運命の女神の手に委ねられているのですが、さて、中国のネット規制緩和は、中国という国の将来にどのような影響を与えるのでしょうか。

 恐らく、共産党政権としては、五輪期間中に限定すれば、ネット規制の緩和は国民の意識に大きな影響を与える程ではなく、むしろ、一時的であれ、現在高まっている政府に対する国民の不満を和らげる”ガス抜き”の働きをする、と読んだのでしょう。何と言いましても、北京オリンピックを成功させることが最優先課題ですので、ここで、国際的な非難をかわす必要があったわけです。

 しかしながら、過去の歴史が示すように、一度自由の空気が広がりますと、これを元の状態に戻すことは難しくなります。政府が、オリンピック後に、再度規制強化をしようとしますと、国民は、それに対して以前にも増して抑圧感を抱くかもしれません。規制緩和の間に広がった情報や知識は、もはや、人々の記憶から消すことはできないのですから。

 中国政府にとりまして、後者のシナリオは、”凶”であるに違いありません。一方、中国国民や国際社会は、後者のシナリオの先に、中国の自由化と民主化の”吉兆”を見出しているのです。ネット規制の緩和によって、中国がどのように変化するのか、注意深く見守る必要があるようです。

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コメント (2)
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