万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

産業空洞化の危機―二つの技術力の協調を大事に

2012年04月01日 15時33分45秒 | 日本経済
消費増税法案、国会提出 増税ラッシュ 産業界、買い控え戦々恐々(産経新聞) - goo ニュース
 今日に至るまで、日本国は、高度な技術が支える”もの造りの国”であることを誇ってきました。優れた製品を市場に送り出すことが、経済と国民生活を支えることでもあったのですが、近年の急激な経済環境の悪化は、産業の空洞化に拍車をかけています。

 この現象に対して、先進国である日本は、製造現場としての役割を脱し、研究・技術開発の拠点へと移行するのであるから、心配には及ばないとする楽観論もあります。しかしながら、日本の技術力には、二つの側面があり、その両者が、車の両輪となって、日本経済を牽引してきたのではないかと思うのです。一つは、文字通り、特許といった研究部門で開発された先端的な技術であり、もう一つは、製造の現場おける熟練の技です。新幹線の車両もNASAのスペースシャトルも、日本国の下町の技が支えており、現場の技術は、日本国の強みでもありました。そしてまた、現場は、経験知を集めたボトム・アップ型の技術改良の場でもあったのです。

 産業の空洞化とは、二つの技術のうち、現場の技術力を日本国が失うことを意味しています(研究・技術開発部門だけで雇用を充たすことも難しい…)。高度先端技術に関する研究部門は国内に残されたとしても、従来通りの”技術力”を発揮できるかどうかは疑問なところです。グローバル化が急速に進んでいるからこそ、日本国は、二つの技術力の協調を、自国の強みとして大事にすべきなのではないでしょうか。

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