万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

原発再稼働問題―”集団自殺説”を完全否定できない現実

2012年04月21日 15時01分49秒 | 日本政治
原発再稼働巡る「集団自殺」発言、仙谷氏が撤回(読売新聞) - goo ニュース
 仙谷氏と言えば、尖閣諸島事件において対中弱腰外交を陰で操ったことで、すっかり悪役のイメージが付き纏うようになったのですが、先日、原発を再稼働をさせないと”集団自殺”になると発言したことで、注目を集めることになりました。この発言、報道によれば、早々にトーンダウンしたようですが、仙谷氏の数ある発言の中では、最も問題の本質を言い当てていたのではないかと思うのです。

 発言者が仙谷氏であったことから、氏の不人気を利用した反・脱原発の高等戦術なのかとも疑ったのですが、”集団自殺”という表現には、現在、日本国で起きている現象の一面を抉り出しています。過去には、カルト教団の信者達が、教祖の命に従って死を選ぶという凄惨な集団自殺の事件もありましたが、仙谷氏は、ある一つの絶対的な信条に従った結果、それが自らの死を意味するという意味で、この表現を使ったのでしょう。本人も自戒しているように、確かに誇張した表現ではありますが、反・脱原発運動がイデオロギー性、あるいは、宗教性を帯びおり、かつ、結果として自国の産業の衰退と生活レベルの低下を招くことを考えますと、あながち、この表現が、的外れとも言えません。マスコミもまた、毎日のように不安を煽って国民を洗脳し、”集団自殺”に誘っているかのようです。

 そして、この思想の信奉者ではない人々もまた、”集団自殺”の巻き添えとなり、外部からは、日本という国が、あたかも自ら滅びの道を選んだように見えます。”集団自殺説”を完全に否定できないところに、日本国が置かれている悲劇的な現状があると思うのです。

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