大阪市は、保有率が9.29%とはいえ、関西電力の筆頭株主です。この権利を利用して、橋下大阪市長は、関電の株を保有する他の自治体にも声をかけ、株主総会で、脱原発を提案するそうなのですが、国のエネルギー政策と株主議決権との関係を曖昧にしたままでは、思わぬリスクが浮上するとも限らないと思うのです。
東電についても、国が過半数を越える議決権を取得することで、経営権を握る方針と報じられています。この方針には、大阪市と同様に、株主権の行使こそが、政策実現の手段であるとする前提があります。しかしながら、以前にも指摘したことなのですが、もし、株主総会によって電力会社の経営内容が決定されるならば、国レベルでのエネルギー政策との間に不一致が生じる可能性があります。さらに深刻となるのは、株主権を行使するのが、政府や地方自治体といった公的な機関ではなく、民間や外国人であった場合にはどうなるのか、という問題です(電気事業法では外資規制はない…)。株主総会の決議が優先されるならば、それが公的な機関ではない場合であっても、認められることになるのですから。
今のところは、民間の株主で脱原発を提案する人々は限られていますし、東電の国有化案でも、政府保有分の株式は、基本的には自社株買いで解消される予定とのことですが、中国の政府系ファンドなどが、内政干渉を目的として、電力会社株を大量に買い付けるといった事態は想定の範囲に入ります。民主党政権では、日中韓の投資協定の締結を急いでいますので、電力会社の株主権の問題は、今のうちにクリアにしておくべきではないかと思うのです。
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今のところは、民間の株主で脱原発を提案する人々は限られていますし、東電の国有化案でも、政府保有分の株式は、基本的には自社株買いで解消される予定とのことですが、中国の政府系ファンドなどが、内政干渉を目的として、電力会社株を大量に買い付けるといった事態は想定の範囲に入ります。民主党政権では、日中韓の投資協定の締結を急いでいますので、電力会社の株主権の問題は、今のうちにクリアにしておくべきではないかと思うのです。
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