万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日銀の金融緩和―太陽光バブルの予感

2012年04月28日 13時42分00秒 | 日本経済
日銀、追加緩和5兆円 国債「3年以下」も購入(朝日新聞) - goo ニュース
 昨日、日銀の金融政策決定会合で、デフレからの脱却を目的に、追加の金融緩和が決定されたそうです。5兆円分の国債を購入し、”基金”に繰り入れることで、市中への貸し出しを増やす狙いなのですが、不安がないわけではありません。

 日銀内の「基金」とは、2010年に導入された新手法であり、民間金融機関を介して、日銀が設定した目的に合致する企画に対して、無担保・低金利で貸し出しをおこなうというものです。日銀が設定した18の融資対象事業の一つが環境・エネルギーであり、特にこの分野に力を入れている民間銀行も少なくありません。その一方で、先日、メガソーラ事業に証券ファンドが参入するとの記事がありましたし、また、再生エネの調達価格算定等委員会では、太陽光の買い取り価格を、高値の42円とする原案が決まったそうです。この流れから予測しますに、日本国でも、スペインのような太陽光バブルが発生する可能性は否定できないのではないかと思うのです。つまり、政策的な高値買い取りを当てにした太陽光発電事業への参入が急増し、金融機関もまた、積極的に太陽光発電事業に融資をした結果、バブルが発生するというものです。

 一足早くにバブルを経験したスペインでは、電力料金の値上がりに対する国民の不満から(産業にとっても高値の電力料金と電力の質の低下を蒙る…)、買い取り価格を下げたため、倒産する事業者も現れ、優先的に投資してきた金融機関の経営も悪化することになりました。現在、スペインは、国債の格付けが引き下げられるなど、財政的にも危機にありますが、景気の悪化の要因に、この太陽光発電の政策的な普及による産業競争力の低下とバブルの崩壊があります。日本国も同じ轍を踏まないよう、失敗の経験に学ぶべきではないかと思うのです。

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コメント (2)
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