万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国民と二階幹事長との温度差

2017年12月29日 19時39分22秒 | 国際政治
与党、中国の「一帯一路」協力に前のめり 慎重姿勢の政府と温度差 訪中団長の自民・二階幹事長「積極的に参加する」
中国が推進している一帯一路構想について、日本国政府と同国を訪問している自民党の二階俊博幹事長との基本姿勢の違いが、政府・与党間の温度差として報じられております。この温度差、日本国民と同幹事長の間でも深刻です。

 二階幹事長が習近平主席と会談し両者が握手する姿は人民日報の一面を飾っており、中国の二階幹事長に対する厚遇ぶりは際立っています。孫子の兵法を生み出した国ですので、当然に、中国が、何らかの目的のために同幹事長を利用していることは疑い得ません。同氏に対し、中国側から一帯一路の言葉を発言に加えるよう要請があったとも伝わりますので、同構想に慎重な日本国政府の方針を積極姿勢に転換させるための、与党内の切り崩し、あるいは、懐柔策の一つなのでしょう。

 あまりに露骨な歓待ぶりに中国側の意図は明々白々なのですが、中国は、日本国について、一つ、重要な側面を見落としています。それは、政党内の政治力学や人脈を操作しただけでは、民主主義国家である日本国の対外政策を動かすことはできないことです。共産党が国家を指導する一党独裁体制の下にある中国は、自らの政治体制の類推から、日本国においても与党を押さえれば国の政治も動くと考えているのでしょうが、民主主義国家の政治では、何にも増して国民の支持が重要です。特に日本国民の多くが安倍政権の対中強硬姿勢が評価し、自民党に一票を投じていますので、この路線の転換は容易ではありません。

 日本国の世論が中国に対して厳しい中、中国が特別待遇を以って二階幹事長の取り込みを図っても、同幹事長に対する日本国民の反感と警戒感を高めこそすれ、与党に対する支持率を挙げる効果があるとは思えません。結局は、与党・政府間のみならず、日本国民と二階幹事長との温度差が開くばかりとなりましょう。否、こうしたあからさまな手段を用いてまで、中国が一帯一路構想に対する日本国側の協力を欲しているとしますと、周辺諸国におけるインフラ事業の頓挫が報告されているように、同構想が、既に行き詰っている可能性が高いのではないかと思うのです。

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コメント (8)
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