万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮は国連から除名されるべきでは?

2017年12月24日 17時04分14秒 | 国際政治
北、安保理制裁決議に反発声明「全面的に排撃」
 国連安保理における新たな対北追加制裁案の全会一致による成立を受けて、北朝鮮の金正恩委員長は、同決議を“戦争行為”として批判したと報じられております。

 仮に、北朝鮮が、国連の仕組みを理解していれば、こうした発言はなかったはずです。安保理決議をはじめ、国連を枠組みとした制裁とは、‘平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為’を行う諸国に対して課されるものであり、制裁対象国とは、いわば、国際社会が厳しく取り締まるべき‘ならず者’です。今般、北朝鮮に対して安保理で制裁決議が成立したのも、同国の核・ミサイル開発・保有が、国際社会に対する重大なる脅威と見なされたからに他なりません。因みに、国連憲章では、国連を枠組みとした武力行使であっても、“戦争”という表現を避けており、‘軍事的措置’という言葉を使用しています(経済制裁は‘非軍事的措置’の一つ…)。ところが、北朝鮮は、同国外務省の報道官を介して、この決議を「わが国の自主権に対する乱暴な侵害、朝鮮半島の平和と安定を破壊する戦争行為の烙印を押し、全面的に排撃する」と述べ、国連に対する対決姿勢を露わにしているのです。言い換えますと、北朝鮮は、自らが“犯罪国”とならぬよう、国連を枠組みとした国際的な制裁行為を、一般的な戦争レベルへの矮小化を試みているのです(クラウゼビッツ流の戦争観では、戦争には正邪がない…)。

 北朝鮮のこの認識は、国際社会のそれとは真逆であり、刑法に喩えれば、犯罪者が、警察による取締りに対して、犯罪的暴力行為であると糾弾し、警察活動の排除を宣言するに等しくなります。北朝鮮は、1991年9月17日の南北同時加盟により、冷戦終焉を背景とした南北間の雪解けムードの中で、朝鮮戦争における国連の‘敵国’でありながら国連の一員となりましたが、この時の捩じれは、1971年の中国の安保理常任理事国入りと同様、今日に至るまで尾を引いております。国連加盟国の一国でありながら、国連憲章に定める義務を怠る北朝鮮は、国連憲章第6条に基づき、除名されて然るべきなのではないかと思うのです。

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