万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

山上容疑者は単独犯なのか?

2022年07月12日 10時50分27秒 | 国際政治
 山上容疑者が3Dプリンターを用いて製造した銃にあって、一度に6発の銃弾を発射できるならば、安倍元首相において確認された4つの銃創、並びに、選挙カーの弾痕は説明がつきます。しかしながら、3Dプリンターを使用したにしては、銃の形状は二つの金属製の筒を横並べにしたものであり、6発を同時に発射できるように改造するには、高い技術力と相当の知識を要するはずです。この点も謎なのですが、安倍元首相が倒れる際の動画も、この説明に疑問を投げかけるのです。

 ネット上では、安倍元首相が二発目の銃撃で倒れるシーンを捉えたスローモーションの動画がアップされておりました。同動画での動きを追ってみますと、ある奇妙な点に気づかされます。それは、西部劇のように銃撃を受けた瞬間にバタンと仰向けに地面に倒れるのではなく(このような映画の被弾シーンは、イメージに過ぎないかもしれない…)、二発目(二回目の爆音)が発射されて倒れる途中で左横方向から何らかの強い衝撃を受けたかのように、元首相の体がわずか右上方に浮き上がっているのです。否、安倍首相は、振り向きざまに二発目の発砲を受けた直後、立候補者や周囲の人々と一緒に身を伏せようとしていたところ、横方向から被弾したかのように見えるのです。すなわち、身を低くしようとした安倍元首相の初期の動作は意識的であったものの、横からの被弾後、びくっとするかのように身が跳ね、その後は、崩れ落ちるように倒れたとも推測されます。翌朝発表された‘左上腕部から入った銃弾が、心臓を破損して、動脈まで至ったことによる失血死’‘という趣旨の警察の検死の結果は、この動画の動きと凡そ合致しています。もっとも、この不可解な身体の動きは、山上容疑者単独犯説にあっても説明がつかないわけではありません。

 一つ目の説明は、仮に、山上容疑者の供述の通り、一度に6発の銃弾を発射できるよる銃による犯行であるならば、被弾の時間差によるもの、とする説です。つまり、最初の二発が首を正面から貫通し、次いで左肩に三つ目の銃弾が当たり、最後に左上腕部に被弾したというものです。外れた残りの弾丸、あるいは、最初の一発目の外れた6つの弾丸が、選挙カーに当たった、あるいは、地面のどこかに落ちているということになりましょう。

そして、左肩から心臓部を破壊した銃弾?もしくは、左上腕部から鎖骨下部の動脈を損傷した銃弾が被弾した際に、安倍元首相は、衝撃のために上述した反射的な動きを見せたこととなります。しかしながら、人の動作と瞬時に発射される銃弾とでは、遥かに後者の方が高速ですので、身をねじっている間に、かくも被弾箇所に距離的な違いが生じるものなのでしょうか。否、一度に6つの銃弾を発射できる威力を持つ爆発力の強い銃ならば、真正面から最初の銃弾二つが首に命中した時点で、その場に崩れ落ちてしまうような気もします(専門家ではありませんで、この点についてはよくわからず、申し訳ありません…)。

 第二の説明は、銃弾の体内移動説です。銃弾とは、必ずしも直進して貫通するわけではなく、体内の骨、軟骨、臓器等にぶつかり、迷走しながらあらゆる箇所に損傷を与えるそうです。このため、被弾した銃弾の一つが体内で心臓等の重要臓器に到達して破壊した際に、安倍首相はショック状態となったのかもしれません。被弾時と致命傷を受けた時とでは、若干の時間差が生じるということになるのですが、体内の各種臓器に全身の動きに現れるほどの感覚神経があるのかどうか不明です。仮に、臓器に鋭い痛みを感じたとしたならば、むしろ、身体を伸ばすよりも、身を縮めたのではないかとも推測されます。

 以上に二つの可能性について述べたのですが、これらのどちらにも疑問が残ります。それでは、別の可能性はあり得るのでしょうか。そこで、トランプ政権下にあっても情報公開が引き延ばしにされたケネディ暗殺事件を思い起こしますと、致命傷となる横からの銃弾については、山上容疑者以外の人物による射撃であった可能性もないわけではありません。

大和西大寺駅前の広場周辺にはビルが立ち並んでいると共に、四方が見晴らし良く開けていますので、どこからでも銃撃は可能です。例えば、上部から現場の様子を撮影していた映像も公開されており、カメラでの撮影ができるのであれば、ビルの高層階から銃で狙うこともできます。また、ケネディ暗殺事件に関する新説と同じく、案外、至近距離、すなわち、元首相の身近にいた人物による犯行である可能性もありましょう。第三者による犯行であれば、山上容疑者の役割は、暗殺そのものではなく、爆音と煙によって暗殺の実行の瞬間を隠すための煙幕を張る、あるいは、オズワルドと同様に‘ダミー役’を務めることであったのかもしれません。何れの動画や画像でも、何故か、決定的な瞬間だけはよく見えないのです。

 もちろん、報じられている通り、同事件は、山上容疑者の個人的な恨みによる単独犯である可能性もあります。しかしながら、国際情勢が緊迫している時期が時期だけに、同容疑者の背後関係については、厳正なる調査並びに検証を要しましょう。安倍首相暗殺事件では、周囲の人々の対応を含めて、どこか、‘ちぐはぐ感’があるからです。何故、突然に、遊説先が長野から奈良に変更され、しかも、狙撃されやすい演説会場に向かったのでしょうか、何故、SPは身を盾にして首相を守ろうとしなかったのでしょうか、何故、止血ではなく心臓マッサージが要請されたのでしょうか、何故、恨みに燃えているはずの容疑者は、かくも冷静な顔でいたのでしょうか、そして、どうして、メディアの報道とその後の情報に極めて多くの食い違いがあるのでしょうか、暗殺の状況以外にも、多くの謎が残されているのです(続く)。

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