万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

安部元首相と統一教会との政治的関係がもたらす地殻変動

2022年07月15日 10時08分05秒 | 国際政治
安部元首相は、明治維新の原動力となった長州を父祖の地として、近代天皇家の闇とも関わる田布施システム中枢の一員としてこの世に生を受けています。明治維新は、イギリス、否、イギリスに拠点を置いていた超国家権力体をバックとしており、この流れは、満州の麻薬利権等とも関係しています。同元首相は、その出生の時から、明治以来の日本国の闇の核心的な部分を背負う稀有な運命の下に生まれた政治家なのです。こうした背景を踏まえ、安倍元首相暗殺事件は、revelationの時代において何を意味するのか、大胆な推理をも交えながら、もう暫らく丁寧に検証してゆく必要がありましょう。

 安倍首相暗殺事件の実行犯として逮捕された山上容疑者の供述によれば、犯行の動機は、国際平和統一家庭連合(以下、統一教会と表記)の信者であった母親の寄付により、一家破産状態となった個人的な恨みなそうです。同容疑者は、安倍元首相を同教団の宣伝塔と見なし、犯行に及んだということなのですが、この動機の真偽は別としましても、今般の事件により、もはや安倍元首相と統一教会との関係は、無視できない段階に達しています。

自民党と統一教会との関係は、以前から噂されており、秘書の派遣のみならず、安倍元首相も懇意の政治家の一人と目されてきました。同教団のイベントにしばしば参加したり、ビデオ・メッセージなども寄せていたそうです。こうした情報からしますと、元首相と教団との繋がりは否定もしようもないのですが、両者の関係については、‘言い訳’が見受けられます。その‘’言い訳とは、日本国の安全保障のためには致し方なかった、というものです。

あえて‘言い訳’しなければならない理由とは、同教団の対日方針にあります。安倍元首相も自民党も、日本国民に対しては自らを日本国の伝統と歴史を大切にする保守政党であることをアピールしてきました。ところが、驚くべきことに、同教団の教義では、「日本の天皇と韓国の王とが交差結婚をしなければならない。」「日本の皇室と(文教祖の)孫たちが結婚する時が来て、すべての国の王権の代表者たちと結婚する時代に入る。」「韓国が支配された立場とは逆に日本を支配するところまでいかなければなりません。」とされているというのです。一般の日本人からしますと、開いた口が塞がらないほど唖然とさせられる‘対日政策’なのですが、カルト教団ですので、本気でこれらの目標を実現しようとしているのでしょう。

そして、こうした‘天皇家の血統を韓国・朝鮮系の血脈に変えたい’、‘日本国を支配したい’といった教祖の私的な願望を教義として掲げる教団と、保守政治家、並びに、保守政党が繋がっていたとなりますと、これまでの日本国の‘保守政治’は、その土台から崩壊してしまいそうです。保守政党とは看板のみであり、その実態は、韓国朝鮮系の反日カルト政党であったのですから(親中勢力であり、かつ、創価学会を母体とする公明党と同類?)。因みに、今般、ネットで情報を収集した際に、安倍元首相が掲げてきた‘美しい国’も、統一教会のフレーズであったことを知り、愕然とさせられました。多くの日本国民も、長きにわたって騙されていたことになり、このあまりにも酷い偽旗作戦に憤慨することでしょう。

そこで、‘言い訳’というものを要するのですが、その言い訳のキーワードとは、同教団が政治的スタンスとしてアピールしてきた‘共勝’という言葉にあります。つまり、‘共勝’とは、共産主義に勝つことを意味しており、ソ連邦や中国といった共産主義国家と鋭く対立していた時代にあって、同教団との連携は、自由主義陣営の強化に資するものであったというのです。日本国の同盟国であるアメリカは、朝鮮戦争を背景として韓国の同盟国でもあり、日韓の親善と友好は、冷戦期にあっては、アメリカの対ソアジア戦略の一環として政治的に進めるべき課題であったことも確かです。

集団的自衛権の行使容認に関する政府解釈の変更ついても、日米同盟の強化が謳われながら、その真の目的は、アジア版NATOの結成であったのかもしれません。ウクライナ危機を機として、実際に、日本、オーストラリア、ニュージーランドと並んで、韓国が加盟する形でのアジア版NATO構想が浮上しています。

しかしながら、日本国民の多くは、この‘言い訳’に納得するでしょうか?苦し紛れの言い訳にしか聞こえないのは、筆者のみではないかもしれません。何故ならば、先ずもって、上述したように同教団の目的は、日本国の植民地化、あるいは、日本国を序列において韓国の下に置くことにあり、決して対等な友好関係の構築ではなく、むしろ、恨日感情に根差しているからです。日本国民は、自国の安全保障を確かにするために、その引き換えとして、韓国を支配者として仰がなければならないのでしょうか。これは、あまりにも馬鹿げていますし、保守の考え方とは真逆、かつ、対極にあります。しかも、韓国が一員となる軍事同盟に加わることは、即、朝鮮戦争に巻き込まれるリスクをも意味するのですから、日本国にとりましては危険極まりないのです。

安倍元首相並びに自民党と統一教会との関係に関する日本国民に対する言い訳こそ、実のところ、アメリカを含めて両者が極めて政治的な関係にあったことを告白しています。今般の事件を機に、国家の安全保障にまで影響を与える新興宗教団体とは、何なのか、創価学会を含めて、その存在が根本的に問われることになりましょう。そしてそれは、近代以降における‘世界支配’を目指す勢力の問題と繋がっているように思えるのです。

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