万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自公与党の敗因は‘裏金問題’ではないのでは?

2024年10月28日 11時51分45秒 | 日本政治
 昨日10月27日に実施された衆議院選挙の結果は、連立を組む自民公明両党の大敗という結果に終わったようです。加えて、同選挙結果には、戦後三番目の低投票率を記録しています(推定53.84%)。与党側の敗因は、マスメディアでは自民党の裏金体質が影響したと決めつけていますが、自民党の金権体質は今に始まったことではなく、また、同時に公明党も議席数を減らしています。この点に注目しますと、真の敗因は、自民党の実態がグローバリスト勢力の‘悪代官’であったことが、国民の前に明らかとなったところにあるのではないでしょうか。

 自公政権の政策の大半は、アメリカをも自らのコントロール下に置く世界権力の意向に沿ったものであったことは、日本国民を後回しにし、時には犠牲に供する政策の数々に現れています。その最たる政策は、コロナ・ワクチン接種事業や早急なデジタル化政策であり、既に1兆円を超えるとされるウクライナ支援もその一つと言えましょう。利権まみれの再生エネ推進政策や、保守政党でありながら事実上の移民受け入れ政策に転換したことも、自公政権に対する不評の要因となっています。この他にも、電力や米価を含む物価高は国民生活を直撃するわけですから、国民の多くが自公政権の継続を望まないのは当然の結果となりましょう。

 実際に、真の敗因が裏金問題ではないことは、ワクチン接種推進担当相並びにデジタル相を務めた河野太郎氏の選挙結果が示唆しています。同氏には裏金問題はなく、むしろ、自民党総裁選挙にあって‘裏金議員’に国家への返還を求めるなど、同問題に対して厳しい対処を主張してきました。しかしながら、神奈川15区にて当選確実とはなったものの、前回の衆議院選挙で獲得した21万票から13万票に減らしており、凡そ8万票という大幅な得票数の減少が見られたのです。同氏に対して吹いた逆風は、ワクチンやデジタル等の問題が有権者の投票行動に大きな影響を与えたことを示していると言えましょう。

 その一方で、裏金議員の全員が議席を失ったわけでもありません。裏金事件で処分を受け、自民党を離党した世耕弘成氏は和歌山2区で当選し、兵庫二区でも西村康稔氏が議席を維持しています。しかも、元統一教会問題に加え、自民党非公認の立候補となったものの、同党から2000万円の‘裏支援’を受けていたとされる萩生田光一氏まで東京24区で当選を果たしているのです。自民党全体としては、裏金議員の当落は18勝28敗となるそうですが、全体としては65議席も減らしおり、裏金問題のみでは説明が付きません。

 これらの当落の結果からしますと、必ずしも裏金問題が自民党の議席数を激減させるほどの原因であったとは考え難く、主因とは言えないはずです。本当のところは、上述したように自公政権による国民を踏みにじるような‘グローバル政策’が批判を受けた推測されるのです。しかしながら、おそらく自民党も公明党も、あくまでも裏金問題主因説を固守しようとすることでしょう。これを認めれば、自らが世界権力の傀儡政権であり、‘悪代官’の役割を担っていたことを自白するに等しいからです。自民党の茂木敏充前幹事長は、出演したNHKの番組にあって「政治資金の問題について厳しい声が寄せられたのが大きかった。景気をどうするか、物価高にどう対応するか党として明確な訴えが十分できなかった。反省しなければいけない」と述べ、敗北要因は裏金問題にあるとアピールしています。日本国のマスメディアの大半も、グローバリストの強い影響下にあり、かつ、情報統制や世論誘導役として自公政権の片棒を担ぎましたので、真の敗因を報じるわけもありません。

 そして、ここに日本国の最大の政治問題が浮かび上がることとなります。国民が現政権の政策、即ち、世界政府が推進するグローバル政策に対する不支持の意思を込めて与党側への投票を控えたとしても、その国民世論が無視されてしまうと言う問題です。否、二頭作戦や多頭作戦の存在を考慮すれば、野党もまた無視を決め込むかも知れません。実のところ、世界権力は、立憲民主党を中心とする政権への交代、首相交代、あるいは、政界再編等を意図して裏から早期解散を指示、あるいは、誘導したかも知れないのですから。次期政権がどのような組み合わせとなるのかは、現時点では判然とはしませんが、今般の衆議院議員選挙は、日本国政府あるいは政界そのものを、多くの国民が自らにも直接に関わる重大リスクとして実感する転機となったのではないかと思うのです(つづく)。



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